イースト・ロンドン大学は、テート&ライル・シュガー(イギリス・ロンドン)の支援を受け、サトウキビ副産物を再利用した低コスト・低炭素の建築材料である「シュガークリート(Sugarcrete)」を開発した。また、グリムショウ(イギリス・ロンドン)との創造的パートナーシップにより、シュガークリートの最初の技術的応用例である「シュガークリートスラブ」がプロトタイプとして製造された。
「バガス」と呼ばれるサトウキビの圧搾後に残る繊維を特別な砂・鉱物結合剤と混ぜ合わせることで作られるシュガークリートは、レンガやコンクリートの代替建材となることが見込まれている。バイオ廃棄物を利用した低炭素建材の活用により、生物期限炭素を建材に貯蔵し、炭素排出を遅らせることが可能となる。
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高度なデジタル・モデリングとロボット加工を用いて製造されるシュガークリートは、高品質の機械的・音響的・耐火・熱的特性を示した。イースト・ロンドン大学の研究チームにより、耐火性・圧縮強度・熱伝導率・耐久性に関する業界基準に準拠した試験が実施された結果、シュガークリートは断熱パネル、軽量ブロック、耐荷重ブロック、構造スラブや屋根スラブとして使用可能であるということが明らかになった。
またシュガークリートはコンクリートと比較して硬化時間が短く、コンクリートが必要十分な硬度になるまで28日間かかるところを1週間に短縮することが可能。さらにコンクリートブロックよりも4から5倍程度軽く、二酸化炭素排出量は15から20%に抑えられ、コストも大幅に削減することができるという。
イースト・ロンドン大学によると、シュガークリートのようなバイオ廃棄物ベースの製品を使用すれば、従来のレンガ産業を置き換えることができ、世界のCO2排出量の3%に相当する10億8000万トンのCO2を削減できる可能性があるという。
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