厚生労働省は6月23日、労働経済動向調査(2023年5月)の結果を公表した。労働者の過不足状況は、正社員などで48期連続「不足超過」となった。特に「建設業」「運輸業・郵便業」「医療・福祉」で人手不足感が高まっている。人材不足への対策として、建設業では代休や休暇を増やした事業所が多いことも分かった。
同調査は景気の変動が雇用などに及ぼす影響や今後の見通しについて調べたもので、4半期ごとに実施している。数値(D.I.)は、前期と比べて「増加」と回答した事業所の割合から、「減少」と回答した事業所の割合を差し引いた値となっている。
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5月1日時点での正社員などの労働者過不足(D.I.)は、全産業平均で+44と高い数値に。このうち「建設業」は、平均を超える+55ポイントだった。また、未充足の求人があると回答した事業所は全産業では57%。「建設業」は49%だった。欠員率は3.3%。4~6月期の雇用実績の見込みは「建設業」は+13ポイントで、7~9月期の見込みは+11ポイントとなっている。
1~3月期に人材の不足などに対して雇用調整を行った事業所の割合は、建設業では23%に。対策の内訳は、「休日の振替、夏期休暇等の休日・休暇の増加」15%、「配置転換」14%、「残業規制」10%が上位となった。一方、「新規学卒者・中途採用および採用の抑制・停止」「希望退職者の募集、解雇」と答えた事業所は0%だった。
所定外労働時間は急増の見込み
4~6月期の生産・売上額などの実績見込みは、全産業で+8ポイントに。「建設業」は+10ポイントとなっている。7~9月期は、全産業では「+7ポイント」で、「建設業」は+15ポイントを見込む。産業別で最も高かったのは「宿泊業・飲食サービス業」の+28ポイントだった。
4~6月期の所定外労働時間は、「建設業」は+12ポイント。これは前回調査(2月期)の2倍の数値で、所定外労働時間が急増している様子がうかがえる。7~9月期は、全産業では+2ポイント、「建設業」は+5ポイントとなる見込み。
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