アラームボックス(東京都新宿区)はこのほど、1年以内に倒産する危険性がある“要警戒企業”をネット情報等から抽出・分析し、「倒産危険度の高い上位10業種」として予測し、発表した。
住宅関連では、3位に設備工事業、7位に職別工事業(設備工事業を除く)がランキングされた。3位の設備工事業は、126社に1社が倒産する危険性ありと予測。太陽光発電や空調設備の工事業者に破産や支払い遅延が発生しており、小規模な事業者が多いため、人件費や資材価格の高止まりの影響が大きいとみられる。粉飾決算や資金持ち逃げによる信用失墜で資金調達難となっている企業が複数あり、取引時には評判を調べることが重要だとしている。
7位の職別工事業(設備工事業を除く)は、143社に1社が倒産する危険性ありと予測。主にとび工事、内装工事、塗装工事、鉄骨工事などの事業で、前回に引き続きランクインした。下請けとして内装工事や塗装工事を行う事業者に、事業譲渡や破産手続き決定の情報が発生している。元請業者より経営基盤がぜい弱な下請業者が多く、人件費・燃料費の高止まりや建築資材の高騰、価格競争などで利益率が低くなり、倒産リスクが高まる傾向にあるとしている。
1位の繊維工業は105社に1社、2位の電気業は106社に1社が倒産する危険性があると予測。電気業は、発電所、電力小売りなどの事業を展開しており、電力の仕入価格高騰が収益を圧迫し、多くの事業者が事業停止や倒産に陥っている。
4位は物品賃貸業(倒産予測は126社に1社)で、建設機械のリース会社などに倒産情報が発生。5位は運輸業(倒産予測は135社に1社)、業務用機械器具製造業(倒産予測は135社に1社)。8位は繊維・衣服等卸売業(倒産予測は145社に1社)、9位は農業(倒産予測は155社に1社)、10位は飲食料品卸売業(倒産予測は160社に1社)だった。
今回10位以内にランクインした業種のうち、7業種が前回調査でもランクインしている。これらの業種は、コロナ禍で減った需要がコロナ後も戻らないなど再建の見通しが立ちにくい企業が多く、倒産リスクが高止まりしている。今回の調査では、円安や燃料費高騰により生産コストが増加した業種と、それらを主要取引先とする業種に倒産関連情報が多く発生。高止まりした人件費の影響を受ける工事業や運輸業などにも倒産関連情報が多く、人材不足による外注費の増加が採算性の低下を招いていた。また今回は、事前に資金繰り悪化やそれに伴う粉飾決算の情報が発生していた企業が倒産に至るケースが散見された。
新型コロナが5類感染症に移行され、脱コロナの動きが加速化する一方で、ゼロゼロ融資の返済本格化や原価高騰の長期化により中小・零細企業の倒産リスクが高まっている。同社は、取引先倒産による経営リスクを回避するには、取引先の業種動向や倒産リスクの把握が必要だとして、同調査を実施。1万4688社・26万6495件のネット情報等から要警戒企業を抽出した。
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