帝国データバンク(東京都港区)は6月26日、「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査(2023年)」の結果を発表した。BCPを策定している企業は前年比0.7ポイント増の18.4%で、6年連続増加している。一方、「現在、策定中」(7.5%)、「策定を検討している」(22.7%)を合わせた『策定意向あり』は1.3ポイント減の48.6%と3年連続5割を下回った。企業の規模別では、「大企業」が35.5%(1.8ポイント増)と2016年から8.0ポイント上昇しているのに対し、「中小企業」は15.3%(0.6ポイント増)で3.0ポイントの上昇にとどまっている。
BCP策定の意向がある企業に対して、事業の継続が困難になると想定しているリスクを聞いたところ、地震や風水害、噴火などの「自然災害」が71.8%と最も高くなった。次に「設備の故障」(41.6%)が続いた。インフルエンザ、新型ウイルス、SARSなど「感染症」(40.4%)は前年から13.1ポイント低下した。また、各地で震度5弱以上の地震が発生していることから、「取引先の被災」(31.4%、5.3ポイント増)、「物流(サプライチェーン)の混乱」(34.7%、4.3ポイント増)が上昇している。事業中断リスクに備えて実施・検討していることは、「従業員の安否確認手段の整備」(68.2%)、「情報システムのバックアップ」(57.1%)、「緊急時の指揮・命令系統の構築」(41.0%)が多かった。
BCPを「策定していない」企業に理由を聞いたところ、「策定に必要なスキル・ノウハウがない」(42.0%)、「策定する人材を確保できない」(30.8%)、「策定する時間を確保できない」(26.8%)が上位となった。大企業では「人材を確保できない」などリソース不足をあげる割合が中小企業より高く、中小企業は「必要性を感じない」が大企業よりも7.2ポイント高いという結果になった。
BCPについて『策定意向あり』とする企業は、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年をピークに低下している。同社は、感染拡大へのリスクが表面化したことで一時的に取り組み意識が高まったが、ポストコロナに向けて経済活動が加速するなか、BCP策定への優先順位が下がる傾向にあると指摘。BCPの準備不足による経済活動へのマイナスの影響が大きいことから、企業、行政が連携して対策する必要があるとしている。
同調査は、TDB景気動向調査2023年5月調査とともに行ったもの。有効回答企業数は1万1420社。
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