アフターコロナに向け企業活動が再び活発化するなか、「放漫経営」による倒産が増加している。帝国データバンクはこのほど、負債1000万円以上の法的整理による倒産・休廃業・解散が判明した企業を調査し、「放漫経営」の倒産発生状況について調査・分析を行った。
経営者の判断ミスやずさんな管理体制、本業以外への資金流出などの会社の私物化により経営が困難になった「放漫経営」倒産は、2022年に144件発生し、前年(124件)から16%増と、2年ぶりに増加した。また、全倒産に占める割合は2.3%で過去10年で最高を記録した。2000年以降ではリーマン・ショック直後の2009年(2.4%)以来となる高水準となった。
帝国データバンクは、「放漫経営」に悪質化の傾向がみられると指摘。放漫経営の末に、粉飾決算や業法違反、脱税といった「コンプライアンス違反」に抵触した倒産の割合は2022年に4割を占め、2年連続で増加した。最も多いのは事業外への資金流出など「資金使途不正」によるもので、放漫経営倒産のうち29件、約2割を占めた。不適切な会計処理など「粉飾」による倒産も16件、約1割を占め、売上高減少などで支援を要請したものの、不適切な会計処理で大幅な債務超過状態が明るみに出たことで周囲の協力を得られず、自力再建を断念したケースも多かったという。
コロナ禍での資金繰りを支えてきた各種支援も段階的に終了していくなか、「事業再生などの場面で過去の放漫経営が表面化し、最終的に法的整理を余儀なくされる中小企業が今後増加する可能性がある」と指摘している。
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