東京都多摩市は6月21日、「宗教法人世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)から、昨年習得した土地(多摩市永山七丁目2-1、2、3)にある建築物の解体工事に着手するとの説明を受けたことに伴い、「造成、既存建物の解体・改修、新たな建物の建築など一切の建築行為をしないように」と教会側に申し入れた。これに対して、教会側は「解体工事の開始は、予定より1週間延期して7月3日からとした。これ以上、工事を遅らせることはできない」と回答している。
この土地は2022年4月28日付で教会が取得したもので、広さは約6300㎡。国士館大学多摩キャンパスに隣接している。このために周辺の市民や学生から不安の声が寄せられているという。また多摩ニュータウン内の南多摩尾根幹線道路沿道の再開発予定エリアに位置しており、今後の計画に影響を及ぼすとして、同市は懸念を示している。
土地放置の可能性も
申し入れでは、こうした懸念のほか、教会に組織的な不法行為と認められた民事判決が2件、民法上の使用者責任を認めた判決が20件言い渡されていること、損害賠償額が約14億円以上にのぼること、宗教法人法第78条の2に基づいた解散命令請求がなされる可能性があると主張。解散命令に至った場合に、教会の土地・財産が整理され、土地などが放置される恐れがあると抗議している。
これに対して、教会側は▽工事に関して業者に契約を結び、一部費用を支払っている▽仮に1カ月も工事開始を遅らせると損害を被る▽土地を更地にしても迷惑がかかるものではないため解体だけは進める―などと説明している。
教会が土地を取得し、土地利用を行おうとしている件については6月7日に、文部科学大臣、東京都知事宛てにも要望書を提出し、適切な対応を求めている。
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