住宅業界の集客状況は確かに厳しいが、生活者の住宅取得意欲が低下しているわけではない。業界の状況と生活者ニーズを正しく捉えれば、工務店が受注を獲得するチャンスはまだ残されている。住宅業界のトレンド通・SUUMOリサーチセンター長の池本洋一さんに「『住宅購入・建築検討者』調査(2022年)」の結果から見える生活者ニーズと、工務店が取るべき対策を聞いた。
住宅購入・建築を検討している生活者(以下「検討者」)が“住宅の買い時感”だと感じている割合は44%【①】。検討者調査とはいえ、生活者の買い時感はまだ強い印象だ。価格上昇幅の大きいマンションの買い時感は弱い一方、注文住宅は予想以上に強い。マンションよりは価格上昇幅が小さく、今後も価格上昇が続くと予想する人の多さが、買い時感の強さにつながっていると考えられる。
注文住宅検討者の割合はここ数年大きな変動はないが、中古一戸建てを検討する割合が、19年の22%から、22年には29%まで上がっている。新築・注文住宅志向は変わらずだが、中古への関心は確実に高まっている。
実は分譲住宅が工務店のライバル
注文住宅の検討者をハウスメーカー、工務店別にみると、工務店の場合、注文住宅以外の検討率が、新築一戸建て(分譲住宅)28%、中古一戸建て17%と、ハウスメーカーに比べて高い。つまり、工務店は“ライバル”が多いということだ。
大手建売事業者はこの1~3月、決算を控え数百万~1000万円の値引きで在庫を販売していた。現在、分譲戸建ては低迷しており、販売時の値引きはまだ当面続くと予想している。もともとの割安感に、大幅値引きが加わるので、ライバルとしては手ごわい。
また、2024年4月から販売・賃貸時の省エネ表示制度がスタートする予定だ・・・
この記事は新建ハウジング6月30日号20面(2023年6月30日発行)に掲載しています。
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