今回のクライアントは、築12年の中古住宅を購入して住み始めてから1年経過したところで、雨漏りに気が付いたのだという。表面に出てきていないだけで壁内や小屋裏で雨漏りが進行しているケースは数多い。今回からの3回シリーズでは、中古物件でよくある雨漏り案件の対処法について説明する。
クライアントは、子どもが転校しないですむように同じ学区内で一戸建ての物件を探していたという。そこで見つけたのが、問題の築12年の木造2階建てだ。立地は希望通り、中古物件ということで新築よりも格安、つい最近まで前の住人が生活していただけあって、それなりに手入れもされている。「ちょうどいい」ということで購入し、さっそく新生活を開始した。
窓まわりのシーリングに施工不良が見られた
その建物は1階と2階の間の「中2階」に広いロフトのような収納スペースがあった。前の住人が退出するときに荷物は全部搬出されたはずなのだが、なぜか窓の横にカラーボックスがひとつだけ、残されていた。クライアントは「前の住人が置いていったのかな」としばらく放置していたが、自分の収納物を整理するときに動かしたところ、カラーボックスの後ろの壁に雨漏りの染みが見つかったのだという。
気になるので、知人の大工に相談したところ、「窓の下に染みがあるから窓のせいだろう」とサッシ業者に丸投げされ、困ったサッシ業者から私に声がかかったという次第だ。こうしたたらい回しは雨漏り案件ではよく見られるものだ。
ともあれ、いつもと同じく、建物外観の視察から始める。軒の出はまあまああるものの、ちょっと強い風が吹いたら、中2階の窓は雨が直接降りかかることになる。雨の染みが浮き出ている中2階の窓が浸入経路としてもっとも怪しい。
さっそく該当する窓を調べてみると・・・
この記事は新建ハウジング6月30日号8・9面(2023年6月30日発行)に掲載しています。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。