年24棟の注文住宅を手がける阿部建設は5年前に非住宅―いわゆる施設建築のギアを上げた。元請として施設建築にまつわる相談事をワンストップで解決していくプロに徹することで受注を伸ばし、いまや売上の半分を施設が占めるまでになった。社長の阿部一雄さんに話を聞いた。
阿部建設の最初の施設建築は昭和10年までさかのぼる。公共工事からは30年前に手を引いたが、主力の注文住宅建築のかたわら、民間の施設建築はずっと継続してきた。
サブ的なポジションにあった施設建築の強化に乗り出したのは5年ほど前。きっかけは何だったのか。「新築着工が確実に減る今後、注文住宅だけでは事業規模を維持できないのは明らか。BtoCに代わる新しい事業の柱としてBtoBビジネスを育てようと考えた」と阿部さんは振り返る。
判断の1つに「売上10億円」を挙げる。「工務店経営の諸先輩方は売上10億が1つの目安になると皆さん言う。感覚的にも納得できるし、銀行や資材メーカーに信用力を印象付ける意味でも10億のラインはクリアしておきたかった」。当時は売上8〜10億円を推移しながら無借金経営を続けていたが(無借金は現在も)、5年後、10年後を見据え、「注文住宅に頼らない経営戦略」として「多品種・多チャンネル化」する道を選択。その1つが施設建築だった。
元請にこだわる
施設建築においても、基本スタンスは「元請」に徹し、集客・営業から設計・施工、アフターまですべて自前で段取りをつける。
元請にこだわるのは・・・
この記事は新建ハウジング6月30日号4・5面(2023年6月30日発行)に掲載しています。
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