東京都が4月から若年夫婦・子育て世帯向けおよび結婚予定者向けに都営住宅の入居者を拡大して募集したところ、一部の高層アパートに応募者が殺到した。
周囲地域の同物件との家賃に20万円以上の差があることや高層マンションであること、立地が良いことなどから不満の声が続出。供給に対して需要が高かったこと、都営住宅でありながら抽選に当たった人のみ恩恵が受けられることなども、SNSなどで話題になった。
話題になったのは、旧都営北青山三丁目団地の跡地に建設された高層住宅「都営北青山三丁目アパート」で、東京メトロ銀座線・千代田線・半蔵門線「表参道駅」下車徒歩5分の立地にある。
家賃は収入に応じて3万1600円~6万2100円。礼金・保証人・更新料は不要。4月に結婚予定の世帯向けに募集したところ、募集戸数1戸に対して16人が申し込んだ。
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さらに高輪一丁目アパート(港区・白金高輪駅下車徒歩5分)では50倍、南千住四丁目アパート(荒川区・南千住駅徒歩11分)には18倍の応募があったという。一方、応募がなかった住居も13戸あった。
若年夫婦・子育て世帯向けの入居者の条件は、世帯構成が「夫婦」「夫婦と子」「ひとり親と子」のいずれかで、入居者全員が40歳未満であること、18歳未満の者がいること。4月には都内で150戸を募集した。結婚予定者向けの住宅は、これから婚姻届を出す予定があること、パートナーシップ関係になる予定の方世帯全員が40歳未満であることが条件となる。
募集戸数は年間300戸(都営住宅250戸、公社住宅50戸)を予定している。いずれも家族人数に応じた所得制限や、住まいに困窮していることなども要件となる。
小池知事「若者へのメッセージになった」
6月23日の定例記者会見で小池百合子知事は「都心の交通至便のところは、都営住宅のみならず常に人気が高い。今回の場合、若い世代で結婚を予定している人を対象に募集をした。若い世代の結婚を促す意味でも、都としてはメッセージになったと思っている。仕事をする上でも至便な場所にあるというプラス面を活用していただきたい。パブリックの住宅を提供するというのは都の役割だ」とコメントしている。
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