東京都は6月21日、いわゆる「2024年問題」に悩む建設事業者を対象に、無料で社会保険労務士などの専門家を派遣する取り組みを開始した。
「働き方改革をしたいが何から手をつけていいか分からない」「就業規則や各種制度の見直したい」といった課題を抱える、都内の中小企業(常時雇用する従業員2~999人)の経営者および人事労務担当者が対象。相談への対応時間は1回2時間程度で、1社につき最大5回の派遣が可能となっている。申込受付期間は2023年12月28日まで。予定数に達し次第、受付を終了する。
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都は「働き方改革促進事業」の一環として、電話・メールなどによる「相談窓口」、働き方改革について学ぶ「集中講座」、課題への取組をサポートする「専門家派遣」を実施。「専門家派遣」では「集中講座」を受講した事業者を対象に、企業の課題に応じて社会保険労務士、中小企業診断士、働き方改革コンサルタント、キャリアコンサルタントなどを派遣する。
今回、新設した「2024年問題対応コース【建設・運送業】」は、2024年4月から始まる時間外労働の上限規制により、人材確保がさらに困難となることが予想される建設業と運送業に特化。「集中講座」受講の有無を問わず、専門家の派遣を可能とした。
過去の事例では、土曜日出勤が恒常化している建設事業者に社会保険労務士を派遣。アドバイスにより土曜日を臨時出勤とし、その振替休日や代休制度を取り入れることで週休2日体制を整えた。他にも人材不足に悩む建設事業者に一級建築士資格を保有するアドバイザーを派遣。企業PR動画の作成やホームページの見直しを行い、福利厚生面を充実させたことで、会社説明会への参加者や選考希望者が増加した例もある。
専門家の派遣以外にも、リアル講習、オンラインライブ、オンデマンドなどの中から受講形式が選べる「集中講座」では、建設業の2024年問題に対応した講座を開講。現在受講者を募集している。
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