帝国データバンク(東京都港区)は6月20日、生成AI(人工知能)の活用に関する企業アンケートの結果を発表した。有効回答企業数は1380社。近年、オープンAI社の「Chat(チャット)GPT」など、生成AIを活用したビジネスに注目が集まっていることから同調査を実施。生成AIを業務で「活用(9.1%)」「検討(52.0%)」している企業は、あわせて61.1%になることがわかった。活用にあたり社内ルールを設けているのは1.2%、ルールがないまま活用している企業は7.8%だった。
また、活用を検討しつつも「使い方がよくわからない」など、現時点で「活用イメージが湧かない」企業は37.8%にのぼる。「検討していない(今後も活用しない17.7%・利用が認められていない5.6%)」は23.3%、「知らない」は4.3%、「分からない」は11.4%だった。
活用状況について企業規模別でみると、「大企業」13.1%、「中小企業」8.5%、「小規模企業」7.7%となり、規模に比例して割合が高まる結果となった。利用に関する社内ルールの有無に関しても同じく、「大企業」の3.4%に対し、「中小企業」0.9%、「小規模企業」0.4%にとどまっている。一方、業務での利用が認められていない割合も「大企業」(11.4%)が最も高く、「情報漏洩リスクの懸念から、グループ全体で使用禁止」など、規模の大きい企業・グループを中心に、利用を認めない傾向がみられた。
生成AIを「活用・検討」している企業に、活用したことがある、または活用したい生成AIを聞いたところ、93.1%が「文章・コード生成AI(総合型)」と回答。具体的なサービスは「ChatGPT」が87.9%で最も高く、米グーグル社の「Bard」(27.2%)、米Smartling社の「Smartling」(4.7%)が続く。
ポストコロナに向けた経済活動が本格化するなか、一部業種・業務では生成AIを活用した生産性の向上が人手不足緩和の一助になると期待されているが、情報の正確性の問題や情報漏洩、利害関係の侵害などのリスクも指摘されている。
今回のアンケート結果では、生成AIの活用・検討に前向きに取り組む企業が6割超となったが、全体の4割弱が活用意向があるものの具体的な使い方が想定できておらず、実践に課題が残る結果となった。同社は今後、生成AIのさらなる機能の開発や国による適切なルール作りが進むことで、企業による活用・普及が拡大し、生産性向上や人手不足解消への貢献が期待されるとしている。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。