三栄建築設計(東京都新宿区)は6月20日、創業者で元社長の小池信三氏が、同社の事業に関し、便宜を図るため、指定暴力団住吉会系の暴力団組員に利益を供与したとして、東京都公安委員会から、東京都暴力団排除条例の勧告を受けたことを発表した。勧告を受けて取締役会を開き、小池学社長、吉野満副社長が辞任、千葉理恵常務が社長に就任する同日付の人事を発表した。
【関連記事】三栄建築設計が暴排勧告で組織変更 利益供与の元社長ら遮断
発表によると信三氏が社長在任中の2021年3月、発注した解体工事を巡り、暴力団員に額面約189万円の小切手を渡した。同社は2022年9月に発注した解体工事代金の一部が反社会的勢力に流れたとして、信三氏を被疑者に含む会社法違反(特別背任)の罪名で捜査を受けており、信三氏は同11月に社長を辞任していた。今回のように上場企業に暴排条例を適用して勧告するのは全国でも異例。
同社は「昨年 11 月に代表取締役及び取締役を辞任した小池信三氏の当社経営に対する影響力を排除し、健全な経営を取り戻すことにあると考えており、今後も業務執行体制を整備するとともに、小池信三氏に対しても株式の処分その他の当社の再建への協力を求めていく所存です」と今後の対応策を明かした。
同社を巡っては5月30日には同社の子会社が発注した建物解体工事を巡り、仲介業者を脅したとして、警視庁が住吉会系暴力団組長の男を暴力行為等処罰法違反容疑で逮捕しており、これに関して「当社といたしましては、報道にある脅迫事件については、何ら関知するところではありません。当社グループは、すべての協力業者に対して事前にコンプライアンスチェックを実施し、反社会的勢力に該当しないことを確認したうえで取引を行っており、報道にある建物解体工事についても同様に対応しております」と否定していた。
■おすすめ記事
オープンハウス、TOBで三栄建築設計を完全子会社化
東証が三栄建築設計に違約金1000万請求 虚偽の宣誓書で
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。