日本建築士会連合会(東京都港区、近角真一会長)は、6月1日の定例理事会で「建築士SDGs行動宣言」を決定し、20日の総会で発表した。建築士が日常の業務や活動を通じてSDGsを達成するための、具体的な行動の指針や規範を定めたもので、SDGsの17ゴールに加え、独自2項目を加えた、合計19のゴールを設定している。
近角会長は19日の記者発表で、世界的な課題の脱炭素への取り組みを強めたいとしたうえで「なぜ脱炭素に取り組むのか、根本的な思想がなければ運動にはなりえない」とした。同宣言によって「根本思想を確立することは、脱炭素が足踏みしている今こそ意味がある」と、宣言の意義を説いた。
同宣言を取りまとめた環境部会の中村勉部会長は「建築士が日常の中で、具体的にSDGsに取り組めるか」を重視したと話す。建築士の日常業務が多岐にわたることを踏まえ、「スケール」による行動宣言を盛り込んだ。人・住まい、建築(群)、街・集落、都市・農村、生態地域、自治体、地球の7つのスケールを提示し、各自の業務や活動を関連づけやすくした。
19のゴール(G)のうちG1~17は、SDGsの17のゴールに紐づくもの。残り2項目は「G18 建築士会は、地域を生かし、建築・まち・むらの風土・文化の持続性、建築文化創造に貢献しよう」と「G19 建築士会は、少子化・高齢化・労働人口減少社会において、地域コミュニティの再創造に貢献しよう」。G18、19は「建築士会」を主語とし、地域文化の保護・育成や少子高齢化など大きな課題に、団体として取り組む姿勢を表明している。
今後は各都道府県の建築士会を通じ、会員への普及啓発を図る。
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