環境省で太陽光パネルのリユース・リサイクルの課題解決に向けた検討会が進んでいる。6月19日に開かれた「第3回再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会」では、リサイクル・リユースの関係団体やガラスメーカーなどから意見を聴取した。
「太陽光パネルの7割を占めるガラスのリサイクルが、太陽光パネルのリサイクルと言っても過言ではない」と、太陽光パネルリユースリサイクル協会(東京都中央区)の堀智広氏は話す。しかし現状として、大量の廃ガラスが発生する太陽光パネルのリサイクル・リユースには、いくつかの課題があるという。
“コスト理由に一括廃棄”の現状
まず、リユース品を抜き出す際に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃掃法)上や県市町村での対応方法に差があること、買取り業者がリユース可能な太陽光パネルをより分けずに、一括でリサイクルや産廃処分に回していることなどである。
リサイクルやリユースをするよりも埋め立てた方が、コストが安くつくため、大量に廃ガラスが発生した場合は、大半の業者は埋め立てを選択するという。その結果、本来再生品や再生材として流通可能なものが大量に捨てられている。「太陽光発電設備の導入補助金が現在、新品に対してのみであることが廃棄される要因の一つだ」と堀氏は指摘。法整備が進んでリユース品も補助金の対象になれば、リサイクルやリユースを選ぶ業者も増えると期待する。
リユース品が活用されない理由として他に、リユース可能な製品を確認するための基準設定(外観・能力検査など)が整っていないことも挙げられる。性能保証がされたリユース品であれば、新品の導入が難しい企業や海外などでの需要が見込める。
他にも、▽流通している太陽光パネルの種類が多くSDSなどの情報が入手できない▽処理後のガラス活用先が建材(骨材)などに限定▽少量発生の廃棄パネルで回収コストが掛かる▽ヒ素・アンチモンが含まれた廃ガラス(リサイクル品)を使用するメーカーに影響が出る―などの課題があるとしている。
制度整備に向けて引き続き検討
同省ではこうした現場の声を反映し、引き続き太陽光パネルの大量廃棄に向けた計画的な対応、適切な事業廃止・廃棄処理に関する対応、資源循環に向けた取り組みなどについて、法整備も含めた検討を行う。具体的には、▽廃棄・リサイクルに係る中長期的な計画の策定▽適切な事業廃止および撤去・リユース・リサイクルを促進するための関係法令の適用や新たな制度の創設▽設置形態(屋根置き・地上設置)や事業形態(FIT・FIP、非FIT・非FIP)に応じた対策―などについて議論する。
太陽光パネルの導入が義務化に向かう中、パネルのリサイクル・リユースに係る課題は、まだ山積している。
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