消費者庁は6月13日、2023年度「消費者白書」を公表。2022年に全国の消費生活センターへ寄せられた相談の合計は87.0万件で、前年の85.9万件よりも増加した。このうち「工事・建築」に関する相談が約2.8万件で3番目に多かった。特に75歳以上の高齢者で、屋根工事や住宅関連の修理サービスの被害に遭った人が目立っている。
住宅関連の相談件数は、「工事・建築」が2.8万件だったほか、「土地・建物・設備」が2.2万件、「修理・補修」が1.6万件。特に65歳代・70歳代・80歳以上では「工事・建築」の相談件数が2位となった。
消費者庁の分析によると、高齢者のうち74歳までは、男性は「アダルト情報」、女性は「化粧品」に関する相談が上位だが、75歳以上になると男女共に「屋根工事」や「修理サービス」などの住宅修理に関する相談が上位に。85歳以上ではさらに相談に占める割合が増えるという。購入手段別でも、消費者を訪問し勧誘する「訪問購入」では6割以上、「訪問販売」では5割弱が高齢者となっている。高齢者は自宅にいることが多いため、訪問による勧誘の対象になる可能性が高いとしている。
訪問販売で多い事例としては、突然訪ねて来た事業者に「屋根瓦がずれている」と言われ、高額な屋根修理工事の契約をしたケース、「火災保険で屋根修理ができる」と住宅修理を勧められるケースが多く見られたという。「トイレが詰まり、折込広告を見て事業者に修理を依頼したら、広告と異なる高額な代金を請求された」といったケースもあった。事業者が「点検に来た」と言って来訪し、「工事をしないと危険」などと言って商品・サービスを契約させる「点検商法」では、高齢者の被害が全体の6割以上を占めている。
身体事故は住宅関連が最多
白書では、住環境における高齢者の身体事故についても触れている。中でも多かったのは「転倒・転落」(約37.7万件)で、高齢者の事故のうち9割を占める。最も多かった場所は「階段」で、次いで「風呂場・脱衣所・洗面所・トイレ」、「庭・ベランダ・駐車場」、「食堂・台所」の順となっている。
他に、全年齢を対象とした身体事故に関する調査では、重大事故1351件のうち「火災」が1141件(84.5%)で多数を占めた。特に生活家電、住宅用蓄電池、給湯ボイラーなどの住宅設備からの出火が火災につながった例が目立っている。また、財産事案では「商品」が5915件(56.9%)で最も多く、そのうち電気・ガス・水道などの設備・器具を含む「光熱水品」が30.4%で多かった。
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