厚生労働省による「建設工事従事者の安全および健康の確保に関する基本的な計画」がこのほど見直され、6月13日に閣議決定がされた。同計画では建設工事従事者に関わる環境や状況変化を踏まえ、5年ごとに見直しを実施している。
今回の改正では一人親方への対応、建設機械施工の自動化やロボットの活用、人材の多様化に対応した項目が追加された。近年における状況変化として、▽気候変動▽石綿を用いた建築物の解体工事の増加▽感染症の発生・拡大▽人材の多様化▽働き方改革による処遇改善▽DXによる危険作業の減少への期待―などを挙げている。
このうち人材の多様化への対応では、女性が働き続けられるための環境整備、外国人労働者の労働災害への対応、高年齢労働者の転倒防止に関する記述を追加した。建設工事の現場の安全点検に関する項目では、危険を伴う作業を減少させるi-Constructionを推進。ICT建機やUAV、ロボットの活用、建設機械施工の自動化・遠隔化など、安全な工法の研究開発・普及について記している。
一人親方への対応にも言及
「安全衛生経費」に関する記載も充実させた。下請負人にまで確実に安全衛生に関する費用が支払われるよう、「標準見積書」の作成・普及を図り、適切な積算をすることを求めている。
さらに建設工事従事者の安全・健康に配慮するため、施工時期の平準化、適切な工期設定を求めた。建設現場での措置を統一的に実施するために、一人親方との取引の適正化を図ることも必要だとした。
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建設現場で最も多い墜落・転落災害に対しては、▽墜落・転落災害防止対策のためのマニュアルの作成・普及▽一側足場の使用範囲の明確化▽足場の組立・解体中の墜落・転落防止対策の強化―を実施。屋根・屋上などの端や開口部、足場や低所(はしご・脚立)からの墜落・転落災害の防止に努める。
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