住友不動産(東京都新宿区)と、東京大学大学院新領域創成科学研究科・清家剛教授および武蔵野大学工学部サステナビリティ学科・磯部孝行講師はこのほど、既存戸建て住宅の改修における環境評価手法の確立に向けた共同研究の検証結果を発表した。
2050年カーボンニュートラルに向けた脱炭素実現のため、新築住宅・既存住宅に対する有効なアプローチが求められているが、省エネ性能が劣る物件が多い既存住宅に関しては改修による脱炭素貢献の研究事例が少なく、環境評価枠組みの構築が強く求められていた。このため、両大学がリフォームに関して幅広い施工実績を有する住友不動産に研究協力を要請。2021年12月から共同研究を開始した。
同研究では、2022年6月に改修によるCO2削減効果の検証結果を発表。既存戸建て住宅の施工時資源投入量・廃棄物排出量に係るCO2排出量は、「建替え」よりも「改修」が47%削減すると実証した。
今回は、改修による長寿命化効果と、改修によるZEH化・ライフサイクル脱炭素化の検証結果を発表。過去に施工した「新築そっくりさん」の物件をトレースすることで、改修された住宅の長寿命化効果を確認した。また、建物の施工・居住・廃棄までの各段階における環境負荷を総合して生涯環境負荷を評価する建物ライフサイクルアセスメント手法を用いて、改修ZEH化やライフサイクル脱炭素化が実現可能であることを証明。全面改修で省エネ性能が向上した物件が、新築建替えよりもCO2削減量が多く、もっとも早い約35年でライフサイクル脱炭素を達成可能だと確認した。
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