国土交通省は6月16日、住宅ローン減税に関する事業者向け説明会をオンライン形式で開催した。省エネ性能の必須要件化の概要や省エネ基準への適合の確認方法などについて、住宅局の担当職員が解説した。
説明会の冒頭、住宅経済・法制課・武藤祥郎課長は「今回の改正は住宅性能に優れた新築住宅の購入者に対し、年間20万円以上・13年間の税制上のメリットを付与する制度となっている。ぜひご活用いただきたい」と述べた。
性能が高いほど税制を優遇
説明要旨は次の通り。
2023年度の税制改正で住宅ローン減税に関する内容が変更されたことにより、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅が住宅ローン減税を受けるには、省エネ基準に適合することが必須要件となった。
新築住宅の控除率は0.7%で、控除期間は13年。借入限度額は住宅性能により異なり、▽認定長期優良住宅・認定低炭素住宅:4500万円▽ZEH水準省エネ住宅:3500万円▽省エネ基準適合住宅:3000万円―となっている。省エネ性能が高いほど税制が優遇される。
省エネ基準に適合しない「その他の住宅」は、2023年末までに建築確認を受けた場合は2000万円を限度額とするが、それ以降は控除そのものが受けられなくなる。2023年末までの建築確認は「確認済証」または「検査済証」で、2024年6月30日までの建築確認は「登記事項証明書」で行う。
2024年1月1日以降に入居する場合、省エネ基準適合住宅以上の住宅であることの証明書が必要となる。申請時に必要な証明書は、「建設住宅性能評価書」「住宅省エネルギー性能証明書」のいずれかで、作成には設計者・施工者の協力が求められる。
「建設住宅性能評価書」では、「断熱等性能等級」が4以上、かつ「一次エネルギー消費量等級」が4以上であるものが有効となる。「住宅省エネルギー性能証明書」では、設計・工事監理などを実施した建築士による証明も可能となっている。
オンライン講座で解説動画も
政府では住宅・建築物分野の省エネ対策として、2022年に建築物省エネ法・建築基準法を改正。2050年度にストック平均でZEH・ZEB水準を確保することを目指し、2025年4月に住宅・小規模建築物の省エネルギー基準適合を義務化するなど、より高い省エネ性能への誘導を図っている。
また、改正建築物省エネ法・改正建築基準法(2022年6月17日公布)の周知を図るため、オンライン講座を同年10月に開設。省エネ基準に関するガイドブックや解説動画を公開している。
ほかにも制度・省エネ基準に関する問い合わせを受け付ける「省エネサポートセンター」、業者向けの「建築物省エネアシストセンター」を設置した。省エネ性能の計算支援プログラムは、建築研究所ホームページ上で利用できる。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。