政府は6月9日に開いた「電力需給に関する検討会合」の中で、2023年度夏季の電力需給見通しを公表。10年に一度の厳しい暑さを想定した場合での予備率を、エリア別に3.1%~22.3%と予測した。安定供給に最低限必要とされる「予備率3.0%」を、全エリアで辛うじて確保できる見通し。
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最も予備率が低い東京エリアは、7月3.1%、8月4.8%、9月5.3%となる見込み。ただし、追加供給力公募(kW公募)により供給力を積み増した場合の数値であり、特に7月は電力供給が厳しい状況にあることから、無理のない範囲での節電への協力を産業界や家庭に呼び掛ける。
その他のエリアでは、中部で7月9.8%、8月11.7%、9月7.8%、関西・中国で7月9.8%、8月11.9%、9月11.3%などとなった。最も予備率の高い沖縄は、7月22.3%、8月18.7%、9月21.6%。
DR調達で供給力確保 再エネの最大活用も
同会合では電力需給対策についても決定した。供給力対策では、▽休止電源の稼働やディマンド・リスポンス(DR)などの調達による追加供給力の確保▽火力発電所などでの電源補修点検時期の調整▽再エネ・原子力など非化石電源の最大活用▽発電所の計画外停止の未然防止―などを行う。
需要対策では、熱中症予防に留意した上で省エネ・節電を行う。企業・家庭に対して、省エネ支援策、省エネ・節電メニューの周知広報を行うほか、▽改正省エネ法を活用した工場などのDR促進▽産業界や自治体と連携した節電体制の構築▽セーフティネットとしての計画停電の準備―などを実施する。長期的な視点での構造的対策では、▽原燃料の調達・管理の強化▽脱炭素電源などへの新規投資促進▽揚水発電や蓄電池等の分散型電源の活用▽地域間連系線の活用―などを行う。
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