東京都世田谷区は5月30日に開いた会見で、大成建設(東京都新宿区)が施工する「世田谷区本庁舎等整備工事」で工程の遅延が発生し、第1期工事が最大6カ月遅れる見通しを示した。1期工事は2024年3月まで、2期工事は2026年まで、3期工事は2028年まで行われる予定。大成建設東京支店・中村有孝支店長の説明によると、工程の検証が不十分だったことが主な要因だという。工事の設計・監理は佐藤総合計画(東京都墨田区)が担当している。
同工事は2021年7月に1期工事が着工。広場を囲むように西棟(地上5階・地下2階、約3万6518m2)・東棟(同・地下2階、約3万6484m2)・区民会館ホール(地上3階、約1937m2)を配置する計画で、西・東棟は解体後に新設、区民会館は改修工事を行う予定となっていた。
その後、2022年12月に工程の遅延により、工事の2カ月延伸が決定。2023年3月に再度、バルコニー躯体工事の遅延が発生した。その際、躯体工事の検証のみを行い、外装工事以降の工程検証が不十分なまま工事を継続。幹部による巡視で非常に厳しい工程だと認識したため再精査したところ、5月に入って工程全体が最大6カ月遅れることが判明したという。
具体的な要因として、①地上の鉄骨工事と並行して1階外周部の躯体工事を行う予定が、免震工事時の打設サイクルの遅れなどがあって進められなかった、②躯体完成の遅れによりバルコニー躯体を支える仮設支柱の設置が予定通りにできなかった、③外部足場組立日数が不足していた、④バルコニー躯体の施工日数が不足していた、⑤仮設支柱を部分的に撤去して外装工事を行う予定が、外装形状が異なっていたためできなかった、⑥外部足場の設置期間中に埋設配管工事・外構工事が重複して行われていた―などを挙げている。
同支店の髙島洋建築第二部長は「計画の検討が不十分だっただけで、施工不良や資材の不足、下請け業者が集まらないといった理由ではない」と説明。最終的にどの程度費用が増えるかについては、現在精査中だとしている。
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