「優れたデザインは、優れたプロダクトを生み出し、暮らしにストーリーをつくりだす」
住宅ブランド「LIFE LABEL」を展開するBETSUDAI(ベツダイ)Inc. TOKYO(東京都港区)CEOの林哲平さん(同ディレクター)は、こう力を込める。同社は5月18日、全国でセレクトショップを展開するBEAMSのブランド「HAPPY OUTSIDE BEAMS」とコラボした規格住宅「Sunny Track House produced by HAPPY OUTSIDE BEAMS」をリリースした。
テーマは『外遊びを楽しむための家』。既成概念にとらわれないクリエイティブで、“新しい暮らし方”の提案をしてきた同社が描く、これからの住まいとは――。新建ハウジング発行人の三浦祐成が聞いた。
三浦:ライフレーベルは常に「もっと暮らしを楽しくエンタメしよう」と旗印を掲げてきました。昨今の家づくりや暮らし方の新しい選択肢の一つとして求められていると感じます。
林:工務店による家づくりのメインストリームがある中で、選択肢に入っているのであれば嬉しいですね。振り返ってみると、10年以上事業をやってきて大切だと感じているのが、やはり暮らし方の提案です。
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三浦:今でこそ当たり前になりましたが、当時から「コト提案」の重要性を説いていましたね。
林:どうやったら生活者が楽しく、ワクワク暮らせるのか。工務店が“リファレンスできるメニュー”を持っていれば、家づくりの幅がぐっと広がります。
構造や躯体のクオリティは高いレベルであることを前提とした上で、いかに暮らしを見つめたプロダクトをつくることができるかが重要です。
「こういう家に住めば、こんなワクワクした毎日が送れますよ」。そんな風に、選びやすい住宅商品をセレクトショップのように棚に並べることで、一人でも多くの顧客に気付きを与えられるかが重要だと考えています。
三浦:大切なのは、パーセプションチェンジ、つまり顧客意識の変化を促す戦略です。住宅業界はコロナ禍を含めて、ここ数年で、いくつかの局面がありました。
たとえば「性能」「コスパ」競争です。当然のことながら、あくまで表層的な側面であって、最も大切なのは、生活者への暮らし方の提案と、プロダクトの魅力です。そこを客観的に認識できているかどうかが重要です。
林:これまで700社以上の工務店に関わってきました。その中で、優れたプロダクトをつくりながら、地元で根強い支持を集めている会社の特徴があります。ひとつの物差しで言えば、SNSが挙げられます。たとえば、施主がInstagramで「#●●●●な暮らし」「#●●●工務店」と自発的に暮らしを発信し、日々をレコメンド(おすすめ)していることが特徴のひとつです。
施主がアンバサダー的にPRし、「こんなおしゃれな暮らしをしてるんだよ」と皆に自慢したくなる、そんな状態が理想です。私が把握している限り、ローコストやハウスメーカーの建て主は、そんな情報発信をしているのを見たことがありません。
優れたデザインはストーリーを生む
三浦:優れたプロダクトと、暮らし方をセットで提案するという手法が、当時は珍しい取り組みでした。その中でも斬新だったのが異業種とのコラボによる規格住宅です。ライフスタイル誌「POPEYE(ポパイ)」、家電ブランド「amadana(アマダナ)」、インテリアブランドでは「IDÉE(イデー)」など数々のブランドと商品作りをしてきましたね。
林:暮らし方をレコメンドすることができたという自負があります。その発想の根源となるものは、ファッション、エンターテイメントです。「生活者視点」を持っているのが当社の強みであり、そこを工務店に期待してもらっています。そんな私たちのフィルターを通した時に、リファレンスとなるブランドと協業してきました。大切にしているのは、顧客が家を建てた後に「おうちって楽しい!」という感情を持ってもらえるかです。
家は「建てたときが感情のピーク」と言われていますが、そんなはずありません。本来、暮らし始めてからワクワクするもの。それを実現するのがハード(性能)ではなく、まずデザインです。優れたデザインは、優れたプロダクトとなり、暮らしにストーリーを生み出すのです。
もっと“自分らしい暮らし”を
三浦:5月には、全国でセレクトショップを展開するBEAMS(ビームス)のブランド「HAPPY OUTSIDE BEAMS(ハッピー アウトサイド ビームス)」とコラボした規格住宅「Sunny Track House produced by HAPPY OUTSIDE BEAMS」を発表されました。経緯について教えてください。
林:ビームスのスタッフの方々とはかねてから付き合いがあり、ブランドの一つである「HAPPY OUTSIDE BEAMS」をご紹介いただいたのがきっかけです。ブランドのアイデンティティである、『週末も、平日も、“外遊び”を全力で楽しむためのヒントが詰まったエンターテインメント』を発信する、という思いに共感し、LIFE LABELとの親和性が高いことから、両社で「ぜひ一緒にやりましょう」となったのが約2年前のことです。
三浦:率直に言って、数あるブランドやセレクトショップの中で、HAPPY OUTSIDE BEAMSとコラボするのは意外でした。
林:デザイナーズブランドやハイブランドは尖ったカッコよさがあり、私自身も大好きです。ただ、それと同じくらいに、セレクトショップにも大きな魅力があるんです。
特にビームスは、あらゆる人に“レコメンド”した商品展開で、誰もがかっこよくなれるスタイリングを提供しているのが特徴です。カルフォルニアスタイルだったり、アメカジだったりと…。そんな、日本のセレクトショップを代表するビームスの思想こそ、私たちが提供したい暮らしと合致すると思いました。ビームスが描くエンターテイメントやカルチャーを“住宅”というフィルターを通して発信したときに、LIFE LABELと大きなシナジーを発揮すると確信しました。
三 浦: 商品名の「Sunny Track House produced by HAPPY OUTSIDE BEAMS」の通り、外遊びを提案する規格住宅でしょうか。この商品を通じて表現したいこと、伝えたいことを教えてください。
林:自分の趣味やこだわりをぎゅっと家に詰め込んで、暮らしをもっと自由に楽しんでもらいたい、そんな想いを込めています。前提として、アウトドアを推奨している訳ではなく、選択肢のひとつです。
あくまで家でインドアを楽しむ方法を推奨しています。それも外遊びというのは、ベランダやバルコニー、庭の話です。「外遊び」の感覚がそのまま味わえる、外遊びを楽しむための住宅と位置付けています。
外遊びのライフスタイル拠点であって、アウトサイドとインサイドの境目をボーダレスにする中間領域があってもいいのではないでしょうか。家を拠点に、それぞれ自分らしい暮らしを家族や友人と積み重ねてほしいと思っています。
(提供:BETSUDAI Inc. TOKYO)
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