消費者庁は5月25日、電気・ガスの供給を行う日本瓦斯(東京都渋谷区、柏谷邦彦社長)に対し、特定商取引法の規定に違反する行為があるとして、8月24日までの3カ月間、訪問販売に関する業務の一部を停止するよう命じた。同社は2021年から2022年に掛けて、「ガス料金が安くなる」などと事実に反する内容を告げたり、契約を断ったにも関わらずしつこく勧誘したりする行為を繰り返し行っていたという。
同社が行った不適正な取引の内容は、▽勧誘目的等の明示義務に違反する行為▽契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘▽役務の対価につき不実のことを告げる行為。
同社は電気とガスのセット販売を行う目的で訪問販売を行っていたが、消費者の自宅を訪れた際に、電気とのセット契約が前提であることを告げずに「ガス料金が下がる」と言って勧誘していた。
また、電気会社やガス会社を変える意思がないと告げた消費者に対し、「検針票を見せてほしい」「手続きは簡単」などとしつこく勧誘を続けたほか、料金が安くなる事実がないにも関わらず、安くなるかのように説明したという。
電力小売に関する相談が増加
消費者庁によると、電力の小売に関する相談件数は増加傾向にあり、なかでも10代・20代が契約当事者となる相談割合が増加している。「電気代が安くなる」のほか、「大手電力会社の委託を受けている」「このマンション全体の契約が切り替わる」といった勧誘手口も目立っている。
こうしたトラブルを避けるため消費者庁では、訪問してきた相手から名刺を受け取り、誰が何のために訪問したのかを確認すること、その場で契約せずに契約中の料金プランと必ず比較することを推奨。不要だと感じたら断るようにと呼び掛けている。
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