神奈川県はこのほど、トイレの詰まりなどの水回り修理を行う訪問販売事業者トータルサポート(神奈川県横浜市、小野智也社長)に対し、消費者が意図していない高額な金額を請求したにも関わらず、クーリング・オフに応じないなどの不適正な取引行為があったとして、2023年5月26日から8月25日までの3カ月間、一部業務の停止と代表取締役の業務禁止を命じた。
不適正な取引行為の内容は、▽書面の交付義務に違反する行為(記載不備)▽債務履行拒否▽迷惑解除妨害。2021年から2023年に掛けて、消費生活センターなどに207件の苦情が寄せられていた。平均契約額は21万7661円。
県によると、同社はインターネット上に「水漏れ1000円から」と書かれた広告を掲載。連絡を受けた消費者の自宅を訪問し、水漏れの状況などを確認した際に「便器も一緒に取り替えないといけない」「本格的に修理をすると100万円以上掛かる」などと、追加の工事の提案と高額の請求を行ったという。
修理代金が高額であることなどに疑問を感じた消費者が、消費生活センターを通じてクーリング・オフを申し出たところ、「工事は終わっている」「納得できないのなら裁判でも何でもやってくれ」などと、契約の解除を拒否。さらに契約時の書面に具体的なメーカーや商品名を記載していなかった。
県、「住宅施工業者などに事前の相談を」
県は「トイレが詰まってインターネットで検索した業者を呼んだところ、詰まりが解消しないまま作業が次々と提案され、最終的に数十万を請求されるケースが増えている」と説明。▽広告に書かれている金額は信用しないこと▽料金や作業内容に不安を感じたら断ること▽事前に住宅メーカーや施工業者、賃貸住宅の大家、管理会社などに、緊急時の対応を相談しておくこと―などを勧めている。
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