政府は6月5日、「第70回男女共同参画会議」を首相官邸で開き、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023」(女性版骨太の方針2023)の原案を公表した。女性の所得向上・経済的自立に向けた取り組みの強化策として、男女を問わず多様で柔軟な働き方を推進する。また、長時間労働の是正や、男性育休が当たり前になる社会の実現に向けて、制度・給付などを見直す考えを示した。
企業の9割以上を占める中小企業については、補助金制度などの施策を講じることで女性の活躍を推進。子育て支援や女性活躍の取り組みに積極的な中小企業を後押しする。また、地域の中小企業で女性経営者を増やす施策として、大企業からの転籍、兼業・副業、出向などにより経営人材確保を支援する「地域企業経営人材マッチング促進事業」を実施する。
多様な正社員制度を導入・拡大
女性の所得向上・経済的自立に向けた取り組みとしては、▽企業の労働慣行の見直し▽家事・育児・介護などの無償労働の負担軽減▽女性のキャリア意識をめぐる課題の解消―などを推し進める。
このうち企業の労働慣行の見直しでは、正社員としての働き方の前提となっている長時間労働を是正。短時間勤務や勤務地・職種・職務を限定した働き方など、多様な正社員制度の導入・拡大を図る。他に、▽勤務間インターバル制度の導入支援▽男性の育児休業取得の促進▽育児期を通じた柔軟な働き方の推進▽外部サービス利用による家事・育児負担の軽減―などにも取り組む。
社会保障制度・税制では、配偶者がいわゆる「社会保険の106万円・130万円の壁」を意識せずに働くことができるよう、短時間労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げに取り組む。106万円の壁を超えても手取りの逆転を生じさせないための対応についても本年度中にまとめる。
リケジョ(理系女子)育成のための施策も
女子学生の占める割合が少ない理工系大学への進路選択支援や、卒業後の活躍機会の確保を目的とした取り組みなども民間企業と連携して行う。理工系分野を選択する児童・生徒の増加につながるよう、専門知識を有する外部人材が学校現場で活躍できる環境も整える。大学入学者選抜で女子の選抜に積極的に取り組む大学などに対しては、「国立大学法人運営費交付金」や「私立大学等経常費補助金」により支援を行う。
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