大手ハウスメーカーの断熱等級6・7対応も進んでいる中、ただ高断熱なだけでは生活者に響きにくくなっている。小堀建設(本社=栃木県矢板市)取締役・関口一範さんは、パッシブデザインの効果を正しく、わかりやすく伝えるため、リテラシーの高い顧客の協力を得て、“正しい住まい方”による“正確な室温”を実測中。性能で大手と競合しても勝てる武器を手に入れつつある。
堀建設では1月から、宇都宮市内に建つK邸(UA値0.32W/㎡K、延べ床面積176.37㎡)で室温の実測を行っている。LDKに設置した2.8kWの棚下エアコン(暖房用)1台と、適切な日射取得・遮蔽で快適な室温を維持できるかを検証するのが第一の狙いだ。
主な居室に加え、収納、脱衣室、トイレなど10カ所に「おんどとり」(ティアンドデイ)を設置して測定。おんどとりを選んだのは、導入当時、データロガーの選択肢が限られていたことに加え「信頼性があり、かつこなれた価格で、まとまった台数を用意しやすかったから」(関口さん)。
また「ネット上に、使い方などの情報がたくさんあり参考にできる」のもメリットだと関口さん。最新機器もいいが、使い慣れていて、しかも他社の使用例を参考に、機能を使い切れることも重要。慣れていれば測定ミスなどのリスクも減らせる。
住まい手のリテラシーが実測の助けに
室温を測ること自体は難しくない。問題は、カーテンやブラインドの開閉やエアコンの使い方など、暮らし方によってシミュレーションと実測結果が乖離しやすい点だ。
しかし、関口さんが「プロ施主的」と評する顧客・Kさんは、天候に合わせて、積極的にカーテンやエアコンをコントロール。そのうえ・・・
この記事は新建ハウジング6月10日号1・2面(2023年6月10日発行)に掲載しています。
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