過去の受講者の方から感想や受講後の変化などをお聞きする「Student FILEs」。参加申込の検討材料はもちろん、受講後の実務への落し込みなどの参考に。
お話をお聞きした方
関尾 英隆 さん
代表取締役
浅倉 瞳 さん
設計担当
●あすなろ建築工房(神奈川県横浜市):https://www.asunaro-studio.com/
設立:2009年 社員:18人 年間棟数:新築12棟、リノベ1~2棟
関尾英隆氏が日建設計に10年間勤務した後、住宅建築への憧れから2005年に工務店に転職。3年間の修業を経て、自らの一級建築士事務所を開設後、2009年に設計事務所機能に工務店機能を融合する形で、あすなろ建築工房(神奈川県横浜市)を設立。
「チーム設計」を採用するなど、
独自の取り組みをしてきましたね
関尾さん 新卒から10年間、組織系設計事務所の日建設計に勤務した経験が、自分の原点です。この組織は1つのプロジェクトに意匠、設備、構造、法規、工務、プレゼンテーション、監理などの各部署のメンバー十数人が関わり、一式の設計図書を完成させます。各メンバーは1人1人がそれぞれ個性を持ちながら、チーム全体としては確固たる品質をもち、「さすが日建設計」と評価される個々人では到達できない、チームの力を発揮できる。これを地域工務店でも実装したい、というのが独立以来の構想でした。
このため弊社では現在、社員18名のうち設計担当として6名が在籍しており、チーム設計を採用しています。初回プレゼンの際は、必ず設計6名全員でコンペを行い、顧客に最適なプランを選ぶ。たとえ採用されないプランでも、各スタッフの多様なアイデアを部分的に取り入れることで、提案に深みを与え、説得力のあるプランを提示できるのが強みです。
塾に参加された経緯を教えてください
関尾さん 一つは設計チームの強化ですね。本来「チーム設計」のしくみが真価を発揮するには、1つのテーマに対して各メンバーが多様なアイデアを確保できる状態が必要です。これまで10年以上チーム設計を続ける中で、ここ最近、顧客に提案する基本プランが過去物件の焼き直しのようにどこか似通ってしまい、メンバーの発想が硬直化しつつあると感じていたときに、塾の告知をみて決めました。
もう一つは塾長の飯塚豊さんに学んでみたいという興味。もともと飯塚さんの本や講義は聞いたことがあり、これまで私が日建設計の先輩などから断片的に教えられてきたことや、自分の頭の中でぼんやり考えて実践してきたことを、きちんと言語化され、体系化されているのを見て、これはすごい、と感じた。この体系をメンバーが身につけることでチームの共通言語を持ち、一歩先を目指せるのではないかと期待しました。
設計チーム6人での参加はいかがでしたか?
浅倉さん 弊社の設計チームは、経歴30年以上のベテランから新卒まで世代も経験も幅広いメンバーで構成しています。これまで設計のメンバーは外部研修をいくつか受講していましたが、出張の時間都合や会社予算もあり、各メンバーが順番に一人ずつ参加する、という形をとっていました。個々での学びは深まってよかったですが、それらの学びを社内で共有する場をつくってこれなかった。今回はオンライン開催で、1社1画面であれば何人でも参加できるとのことだったため、外部研修に初めて設計チーム全員で受講することができました。
毎月1回2日間の講座。1日目はまずオンラインで飯塚さんの講義を6人全員で受け、その後全員で設計課題を行います。その後全員で社内コンペをおこなって最優秀に選ばれた1案をその日の夜に講座に提出。2日目は飯塚先生とゲスト講師のお二人から講評・添削をお願いする、という流れです。
受講されていかがでしたか?
浅倉さん これまで実践してきた設計手順と異なる、新しい設計手順を学べたことが大きな収穫でした。今でも「間取りから考えない」は設計チームの合言葉になっています。弊社では、施主の生活しやすさや機能性にとことん沿った設計を手掛けていきたい思いが強いため、反面としてどうしても外観デザインが整理できない。そこにもどかしさを感じていました。
間取りから考えず、構造や屋根から考えることで、顧客をうまくリードして外観デザインを洗練させ、それによって顧客の要望を超える付加価値を提供できる。一歩先の洗練された設計デザインに向かっていく重要な突破口になるという手応えを感じました。
そのほかにも、屋外からみた窓の整理、室内のたまり、中間領域のつくり方なども、メンバーの意識が向くようになり、これまでとは違う視点やアイデアが生まれるようになりました。
関尾さん もう一つ大きな収穫は、発表・講評を通じて、他の受講工務店さんのプランや取り組みを見させてもらえたこと。受講者の皆さんは、本業の合間を縫って参加し、時間をかけて渾身の課題プランを提出され、積極的に質問をされている。「このチャンスを掴んで何とか実力をつけたい」という貪欲さに非常に刺激を受けた。メンバーにとってもよい刺激になったと思います。
塾卒業後、設計チームの育成はどのように続けていますか?
関尾さん やはりオンラインとはいえ、設計チーム全員での受講はメンバーの業務負担が大きかった。その後は全員強制参加での外部研修は行っていません。今後は社員が主体的に「もっと学びたい」という気持ちで臨んでもらえる機会を待ちたいと思います。そのためには生産性を高め、もっと余裕を持ってもらうことも必要だと考えています。
我々が受講した2020年当時は、コロナ禍の行動制限が厳しく、講師や他の受講生と直接交流できなかったことが残念だった。講師や他の受講者と対面で知り合うことができれば、もっと本音の話ができ、講義や発表講評も深い話ができて、お互いに刺激をもらえる。今後、リアルイベントなどの機会が持てるようなら、また工務店設計塾の再受講も検討したい。企画に期待します。
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