過去の受講者の方から感想や受講後の変化などをお聞きする「Student FILEs」。参加申込の検討材料はもちろん、受講後の実務への落し込みなどの参考に。
お話をお聞きした方
鈴木 茂明 さん
代表
●ニコハウス設計室(愛知県豊橋市):https://nicohouse-s.com/
設立:2015年 社員:3人 年間棟数:新築6棟、リノベ1〜2棟
愛知県豊橋市生まれ。専門学校で建築を学んだ後、造園会社に就職。(樹木と剪定)その間に二級建築士の資格を取得したのち、地元住宅会社に就職。一級建築士を取得し、10年目で独立。今年4月より設計者を採用し、社員3名で年間新築6棟を手がける。
塾に参加された経緯を教えてください
それまでほとんど我流でやってきており、設計手法を誰かに設計を学ぶ、という経験は一度もありませんでした。独立前に勤めていた地元建設会社時代に会社の諸先輩を見習ったり、独立後に雑誌を見て好きな住宅の図面を真似るぐらいでしょうか。
独立後、自分の設計で仕事がとれていましたので、何とか設計力を高めたいと感じていたというよりも、むしろ自分の設計が全国の設計者さんの中でどこまで通用するか、腕試しをしたいという気持ちの方が強かったと思います。
どのような印象や手応えを感じましたか?
初めて受講して、面食らったのは講義ですね。飯塚さんが常々忠告される「間取りから考えるな」という設計法を、当時の私はそのまま実践していて、架構や屋根形状から検討する発想が全くなかったので(笑)。毎回1日目の飯塚さんの講義は最初はすんなりとは理解できず、講義後にアーカイブ動画を何度も観直して、ようやく少しずつ内容を理解していった、という感じでした。
2日目の設計課題プラン提出と発表講評も大きな刺激になりました。それまで他の工務店さんの設計プランを見る機会はほとんどなかったので、発表のときに受講者の皆さんのレベルの高さを実感したときはとてもショックで「このままでは設計者として地域で生き残れないのでは」と強く危機感を持ちました。毎回発表講評の最後に優秀プランが表彰されますが、第3回で飯塚さんから優秀賞に選んでいただいたときはとても嬉しく、そこから自分の設計に自信が持てるようになっていきました。
実物件の設計に変化がありましたか?
実はこの塾をきっかけに、自社仕様を飯塚さんと全く同じものに切り替えました。飯塚さんの設計手法が明快で、構造躯体が非常にシンプルで端正であることが、他の建築家と違い「自分に合っている」という直感がありました。「この設計をとことん真似て、自分のものにしたい」という気持ちが湧き上がってきました。その日をきっかけに、次の物件から全てを飯塚式に切り替え、そこから現在まで2年半その工法を採用し続けています。
実物件の仕様を切り替えて実践されたそうで、具体的にどんなことを実践したのでしょうか?
飯塚先生の住宅は構造が非常にシンプルで端正だと感じ、これを自社に取り入れたいと思いました。講義で紹介される平面・立面・矩計図をもとに、天井高、棟高、構造、内外装仕上げ、造作、断熱・気密の部材構成まで、すべてを徹底的に真似る。飯塚先生の仕様がそのまま自社標準になっていくイメージです。
自分の中でもとくに大きな変化があったのは、構造と屋根です。当初は私も他の工務店さんと同様、住宅の平面図や立面図だけを作成し、それをプレカット工場に丸投げしていました。それでもプレカット工場は間取りに合わせて無理矢理でも、壁の配置、柱や梁の配置、基礎まで一通り図面を作ってもらえる。でもそれでは飯塚さんのようなシンプルな構造には到達できません。
今回を機に、構造計算ソフト「ホームズ君」を導入し、部材加工を依頼する流れに切り替えました。本来あるべき流れですが、構造計算を内製化したことでようやくそれが実現できた、ということです。
構造計算をしながら、飯塚さんの設計に近づけていくと、1階と2階の柱直下率を揃えたり、吹き抜けと階段を一緒にして水平構面を確保したりと、その合理性がどんどん明らかになっていきます。またこれまで悩んでいた構造・断熱気密・通気など複雑な要素がからまるおさまりが、一気に解消されました。
天井高を2100㎜に下げたり、外壁材を無垢杉板に切り替えたことで、これまで見上げるような威圧感があった家が落ち着き、雰囲気がガラッと変わりました。顧客もその変化を感じとってくれており、「いい雰囲気の家をつくっている」と評価が少しずつ浸透しつつある手応えを感じています。
継続的に受講された経緯を教えてください
自社標準仕様を飯塚仕様に切り替えて設計をはじめ、半年間の本編が終わる頃には、その物件がぽつぽつと着工、完成し始めた。図面で書いたことが実際の現場で眼の前に立ち上がってみると、これまでとは違う次元での気づきがあり、そこからさらに知りたいことが増える。この学びの好循環を継続したいと思い、第2期も続けて受講することを決めました。
継続受講したもう一つの理由は、第2期ゲスト講師・関本竜太さんの存在です。関本さんのことは、設計ディテールが非常に精密なことで有名な建築家として知っていました。第1期で標準仕様を決めて構造・断熱・気密の迷いがなくなったことで、第2期の講義ではようやくデザインなどもう一つの視点について考える余裕が生まれていました。第1期を修了した頃には飯塚メソッドが身体に染み付いていたので、他の建築家さんを研究することで、そこからさらに何か別の視点が見えてくるのでは、という期待がありました。
受講される方に向けてアドバイスをいただけますか?
何よりもまず飯塚氏の工法をそのまま真似て採用してみることをおすすめします。これができると構造の問題がとてもスッキリするので、安心してその先のデザインやおさまりを深掘りできる。すべてを自分で独自に取り組むよりも、第一線で活躍されている建築家さんの仕様を真似て実践し、調整する。その中で自分独自の道を切り開いていくほうが早いと思います。
会社の事情ですぐには仕様を変えることはできないかもしれません。それでも学んだことをそのままにせず、少しでも自社物件で実践すること。それによって学べることがたくさんあるはずです。
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