日本商工会議所(東京都千代田区)は5月31日、商工会議所LOBO(早期景気観測)2023年5月調査結果を公表した。全産業合計の業況DIは、前月比+4.9ポイントの▲6.2。行動制限のない大型連休に加え、コロナの5類移行による消費マインドの改善、インバウンド・国内観光需要の回復で改善。建設業は、建設資材やエネルギー価格の高騰は継続しているものの、政府の補正予算による公共工事の受注数増加に下支えされ改善した。製造業も、底堅い国内の設備投資需要の下支えで改善した。
日商は「原材料・エネルギー価格の高騰や人材確保に向けた賃上げ等のコスト負担増、需要回復に伴う人手不足、価格転嫁が十分に追い付いていない等、経営の重荷は多い」としながら、「経済活動のさらなる回復で、中小企業の業況は改善が続いている」とした。先行き見通しDIについては、需要増に人材確保が追い付いてない事や、原材料・エネルギー価格の高騰継続、海外経済の鈍化による外需停滞懸念など、中小企業の先行き不安は根強いとして、▲9.5(今月比▲3.3ポイント)とした。
建設業に関して5月の売上DIは▲13.6(前月比+0.2)、採算DIは▲26.0(同▲0.2)、仕入単価DI▲76.8(同+6.3)、販売単価DIは31.6(同+1.8)、資金繰りDI▲8.0(同+2.5)、従業員DIが33.7(同+5.7)。
建設業の先行き見通し(6~8月)は、売上DIは▲14.2、採算DIは▲24.1、仕入単価DI▲65.9、販売単価DI20.1、資金繰りDI▲10.8、従業員DI34.1。
事業者からは、「受注数の増加に伴い、人手不足解消に向けて積極的に人材採用を実施。確保できた人材の定着・育成に向けて、賃金の引き上げや技術の承継を図っている。これにより、コスト負担は増加しているものの、販路拡大に努めるとともに、補助金の活用等も行っていく」(大工工事業)、 「2024年の働き方改革関連法の施行に向け、就業規則の改訂など、対応を進めている」(舗装工事業)など、受注増と人材確保に苦慮する声が聞かれた。
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