依頼主がDIYワークショップなどを通じて設計や施工に携わる「参加型リノベーション」を専門とし、場所や空間を「ともにつくる」ことを理念に掲げるつみき設計施工社。同社が携わった店舗の事業継続率は9割を超え、主な商圏とする千葉県市川市周辺では“一目見たら忘れられない”魅力あふれる店舗が増え続けている。
POINT.自身も「地域の生態系の一部」として暮らす
◉2010年7月の創業以来同社が手掛けてきたプロジェクトは63件(小規模工事、施工中を含む)で、うち40件が店舗。32件は現在も同じ場所で、5件は移転して営業を継続しており、すでに閉店した店舗は3件のみ。事業継続率に置き換えると9割を超えている
➡その理由を、河野氏は自社に依頼する層を「依頼主のDIY参加を必須とする当社を選択するのは“自分の活動を他人任せにしない”志向の持ち主。経営が苦しいときには自分で販路を見つける“つわもの”が多いのかもしれない」と推察する
◉商圏は本社から車で片道30分以内に行けるエリア(市川市全域、松戸市の一部)に限定。河野氏自身も市川市内で暮らしている
➡商圏を狭めつつ自身の生活圏と重ねることで、移動時間が大幅に削減されるほか、同社が携わった飲食店に河野氏らが家族を連れてふらっと訪れるなど「サービスの提供者であり享受者でもある」という相互扶助の関係が強まる。この関係が築かれることで、参加型リノベーションの価値は最大化する
◉市川市は人口約50万人と大きな街だが、自分で起業する強いバイタリティーを持ち、かつ参加型リノベーションを選択する人に絞ると、結果的に「OB客の知り合いの知り合いの知り合い」枠に入ってくる
➡参加型リノベーションを標準とすることで顧客の対象を絞っている同社だが、本当の意味での競合がおらず、依頼主との理念共有が自然と図られるため成約率は非常に高い
◉元々市川市は店舗経営者のつながりが濃い地域ではなかったが、河野氏の友人で同市で20年間自転車屋を営んできたM氏を中心に「人(事業者)の輪」ができつつある
➡M氏は葛飾八幡宮の神主と旧知の仲であったことから、同神社の境内で2019年から手づくりマーケット「ニューボロイチ」を開催するようになる。これをきっかけに店舗経営者同士のつながりが強くなり、河野氏もその輪に入った
POINT.場の魅力を入居検討者に訴求する
◉宮城県民にとって仙台市はステイタスが高く、利便性が悪い地域でも地価や家賃は高い。仙台市の人たちを岩沼市に目を向けさせれば高い家賃を受け入れてられる入居者を獲得できる
◉とはいえ・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー6月号(2023年5月30日発行)シン・住宅ビジネスの手引き 建築企画 超入門Q&A』(P.98〜)でご覧ください。
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