2018年に扇建築工房の代表を退いた鈴木昌司さんが立ち上げたのが、買主専門の不動産会社「くず不動産」だ。工務店(設計・施工)としての知識や経験を生かし、生活者にとってより良い不動産取引を実現していくことに取り組んでいる。
POINT.不動産取引に潜む問題
◉不動産(仲介)業は、既存不動産の所有権を移転させることで報酬を得ている。しかも宅建業法上は、本来は利益相反する買主・売主を、一社だけが仲介すること(両手取引)が可能で、買主も、売主も不利益を被りやすくなっている
◉特に、地価が安い郊外の土地取引は複雑になる。農地からの転用が絡む土地が多く、関連法や規制も増えることに加えて、境界が不明瞭、高低差があるなどの問題を抱えているためだ
◉仲介手数料は法律で3%が上限と決まっているため、手間の割に利益が少ない安価な土地を流通・活用するための条件整理に力を入れる不動産業者はほぼいない。彼らは高額で利用価値の高い街中の土地取引に力を注ぐ
POINT.工務店の提案力で土地に価値を与える
◉くず不動産が扱う土地は、レインズ上に情報がある物件が多い。元付けの業者が公開している情報はごく限られているため、鈴木さんが現地や役所関係で調査を行い、土地の魅力を確認。擁壁の倒壊、境界の問題など、さまざまなリスクを判断すると同時に解決方法を見出し、そのうえで土地のポテンシャルを引き出していく
◉営業は・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー6月号(2023年5月30日発行)シン・住宅ビジネスの手引き 建築企画 超入門Q&A』(P.44〜)でご覧ください。
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