東京都は5月31日、屋根などのリフォーム工事の訪問販売事業を行うスマイルホーム(東京都杉並区・金井将輝社長)が、不要な屋根の修理を持ち掛けるなどの不適正な取引行為をしていたとして、3カ月間の一部業務を停止するよう命じた。
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不適正な取引行為の内容は、▽勧誘目的等不明示▽契約書面記載不備▽不実告知―など。平均契約金額は約88万円で、最高額は約350万円。消費者生活センターなどにこれまで97件(2021年39件、2022年57件、2023年1件)の苦情が寄せられていた。
都の調べによると、同社は突然家庭を訪問し、「屋根が剥がれかけている」「近所で工事をしていて見えたので、念のために知らせに来た」「こんなにひどい屋根は見たことがない」「屋根の土台の木が腐っているので釘が打てない」などの虚偽の説明を行い、必要のない工事を行わせようとしたという。
中には、自らねじなどを取り外したり、テープを貼ったりして、屋根が剥がれそうになっているかのように装う悪質な手口もあった。さらに工事契約を締結する際、契約書面に役務の種類、対価(単価)、支払方法、商品の型式、数量などを記載せず、クーリング・オフの説明も行っていなかった。
業務を停止する期間は、2023年6月1日から8月31日までの間までの3カ月間。特定商取引に関する法律第2条第1項に規定する訪問販売に関する業務のうち、(1)役務提供契約の締結についての勧誘、(2)役務提供契約の申込みの受付、(3)役務提供契約の締結―を停止する。
「不具合を指摘されても慎重に」都民に注意喚起
都では都民に対し、突然訪問してきた事業者から「屋根が剥がれそう」などと住宅の不具合を指摘されても、慌てて点検に応じたりせずに慎重に対応すること、工事を勧められてもその場で契約せずに、家族や身近な人に相談して複数の事業者から見積りを取ること、工事内容や金額などを十分に検討するよう呼び掛けている。
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