CLT建築FCの日本CLT技術研究所(運営:ライフデザイン・カバヤ、岡山市)が、狭小地向けのCLT工法「LC-gate(エルシーゲート)構法」を開発した。
敷地に制限があり、資材置き場等が確保しにくい都市部の狭小地向けに開発。CLTパネル工法とラーメン構造を組み合わせた「門型架構の薄肉ラーメン構造」となっており、間口方向の耐力壁が不要なため柱型が出ず、間口を大きく開口して空間を最大限に利用できるのが特徴という。
これに伴い、専用の「基礎-壁接合金物」と「梁-壁接合金物」も新たに開発している。
同工法を採用した1棟目の建物となる店舗「Garage house上馬」を、加盟会社のエー・ディー・アンドシー(東京都世田谷区)が都内に建築(2023年5月24日完成)。
当初は鉄骨造・在来木造でも設計したが、「トレーラーが設置できる店舗」との要望を叶えるため今回の新工法を採用し、45分準耐火建築物として、内外装をCLTあらわしで仕上げた。
建築にあたり、林野庁の令和4年度CLT活用建築物等実証事業を利用している。
「Garage house上馬」
敷地面積:61.69平米、建築面積:47.66平米、延床面積:95.32平米
CLT使用量:加工前製品量42.34立米、加工後建築物使用量38.00立米
CLT仕様:壁(210mm厚/5層7プライ/Mx90A-5-7/ヒノキ・スギHB)、床(36mm厚/3層3プライ/Mx60-3-3/スギ)、屋根(36mm厚/3層3プライ/Mx60-3-3/スギ)
工期:2022年11月1日〜2023年4月
設計・施工:エー・ディー・アンドシー
また、この店舗建築を通じて、以下のような検証を行ったという。
(1)工期短縮と敷地有効活用を目的とするプレセット製造の検証
工場で内外装をセットするプレセット(オフサイト)製造を採用。狭小敷地いっぱいに建築し、建て方後に外壁の確認やメンテナンスができなくなるため、事前に実寸大CLTパネルを使ってCLT外壁の防水性を検証した。
(2)BIMを用いた施工シミュレーションによる検証
内外装をプレセットした大型CLTパネルの搬入および建て方を効率化するため、BIMを使った施工シミュレーションを繰り返し行った。前面道路の交通量や電線が多いため、あらかじめクレーンの配置やトラック搬入時間を決め、オリジナル治具も開発した。実際の建て方は道路の占有許可時間等の関係で7日間を要したが、事後検証の結果、最短4日間で建て方が完了する工法であることを確認した。
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