世界の3Dコンクリートプリンティング(3DCP)の市場規模は、2031年までに1兆2565億ドルにまで達する見込みだ。米調査会社Allied Market Researchがこのほど発表したレポートで明らかにした。
レポートでは、世界の3DCPの市場規模は2021年時点で3億7170万ドルと評価され、2022年から2031年にかけて131.8%のCAGR(年平均成長率)で成長すると予測されている。3Dプリントの有用性の周知が進み、同技術への関心と需要が高まったことが市場の急拡大に繋がるとみられている。
また、コロナ禍の発生により、市場の成長が本来よりも抑えられていたという事情もある。新型コロナウイルスの感染拡大が建設活動と研究開発活動に大きな制限を与えたため、3DCP市場は停滞を余儀なくされた。コロナ禍が解消し、これらの活動が再開することで、市場は爆発的な成長に向かうと予測されている。
3Dプリントは、従来の建築に代わる有効な手段であることが証明されつつある。複雑な構造物をより早く、より正確に建設することができ、材料やエネルギーの使用による廃棄物を削減することができる。また、鋳造が不要になるため、従来の工法に伴う人件費も大幅に削減される。
一方で、市場の成長を阻害する要因となっているのは、3Dプリンター本体やそのメンテナンス、オペレーション・ソフトウェア、ハードウェア等にかかるコストが膨大なことだ。3Dプリンターの移動や使用時の設備運用にも高いコストがかかるため、費用面の問題は軽視できない。印刷サイズに制限があることも欠点で、こちらも世界的に市場及び技術の成長を妨げる要因となっている。
地域別に見ると、先進的な建築技術と3Dプリントの高い導入率により、北米と欧州が3DCP市場をリードしている。しかしアジア太平洋地域では、主に日本・中国・インドなどの国々で3Dプリントの導入が進んでおり、2031年までの市場の成長には最も高いCAGRで寄与すると予測されている。
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