住友林業(東京都千代田区)と京都大学は、2022年3月から取り組んできた「国際宇宙ステーション(ISS)での木材の宇宙曝露実験」において、約10か月間の宇宙空間での木材試験体の曝露実験が完了したと発表した。今年1月、試験体は地球に帰還。
両者は、2020年4月に「宇宙における樹木育成・木材利用に関する基礎的研究」に共同であたる研究契約を締結し、木造人工衛星「LignoSat(リグノサット)」を打ち上げるプロジェクトである「宇宙木材プロジェクト(LignoStella Project)」を開始している。
帰還した試験体の外観、質量などを測定する1次検査を実施したところ、木材の割れ、反り、剥がれなどはなく、温度変化が大きく強力な宇宙線が飛び交う極限の宇宙環境下で、試験体の劣化は極めて軽微で材質は安定しており、木材の優れた耐久性を確認したという。今回の実験では、ヤマザクラ、ホオノキ、ダケカンバそれぞれの劣化の差を検証。3樹種間に劣化の差は確認されなかったことから、地上で実施した各種試験の結果(加工性の高さ、寸法安定性、強度など)も踏まえ、「LignoSat」1号機にはホオノキを使用することを決定した。
今後は、木造人工衛星の打上げに向けて最終的な調整を進めるとともに、試験体の詳細解析を進め、劣化のメカニズムを解明し、劣化抑制技術の開発、地球上での木材利用の拡大に繋げていく。
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