LIXIL(東京都品川区)は5月25日に都内で開いた記者会見で、HEAT20・G2以上の高性能住宅に特化した全館空調システム「エコエアFine」を6月1日より、全国で(北海道、沖縄、離島除く)発売すると発表した。参考価格は200万円程度。
同社がZEH事業の成長戦略を描く上で「3本の矢」の第2の矢に位置付ける全館空調。新発売する「エコエアFine」は、業界最小クラスの低容量(kw)・低風量(㎥/h)を実現する。一般ルームエアコン4.0kW約1台分相当の出力で、家全体を快適な室温で、きれいな空気に保つ。
「5年間の研究開発期間を経て商品化に至った」(同社 ZEH推進事業部 事業部部長 笠井達也さん)という同製品には、独自技術の「循環切替システム」を搭載した。冷たい空気は床に溜まるといった空気の特性をふまえ、夏と冬で空気を取り込む場所を切り替える機能を備える。
特許出願中の「空調負荷診断」では、同社独自の負荷計算システムを使用し、各住宅の空間別に空調負荷を確認できる。冷房においては、太陽高度方位が異なる朝・昼・夕方それぞれの負荷を設計段階で計算し、冷暖房負荷がオーバーしている空間に対して、適切な開口部の対策案を提案するという。
同製品を採用することで、吹き抜けや仕切りの少ない大空間でも温度差の少ない環境が実現できるため、空間デザインの自由度が広がるといったメリットがある。個別エアコンの場合は、設置台数分の室外機が必要になるが、同製品の場合は1台で済むため、外観もすっきりとした印象になる。
メンテナンス性にも優れており、本体床置き設置のため手の届く位置に空調フィルターがセットされていることから、ルームエアコンや天井面・高所設置の製品と比べて負担が少ない。
同社ZEH推進事業部の笠井さんは会見で、「断熱等級6以上というマーケットはまだ小さい」との見方を示しながらも、大手ハウスメーカーでもG2、G3といった機運が高まっている中で、脱炭素社会の実現に向け「かなり早い段階で市場が拡大していくことが期待できる」と自信をのぞかせる。
まずは、同社のスーパーウォール(SW)工法による高性能住宅を手掛ける工務店などに対して提案を強化していく考え。
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