矢野経済研究所(東京都中野区)は5月24日、国内住宅市場および住宅関連市場を調査した結果を公表した。2030年度の新設住宅着工戸数は、2022年度比13.5%減の74万4600戸と予測。人口・世帯数の減少や住宅余りなどにより、長期的に漸減傾向で推移するとみられる。一方、既築住宅数の増加に加え、経年劣化に伴う修繕需要や住生活空間を充実させるリフォーム需要が底堅く推移すると見込まれることから、新設住宅市場への参入者が、これまで以上に既築市場へ移行すると考えられる。
住宅・建設業界は、政府の2050年カーボンニュートラル宣言を受け、建築物の省エネ性能の強化を加速させている。また、2030年度に新築住宅の省エネ性能をZEH水準に引き上げる目標が示されたことで、ZEH化率が向上。大手ハウスメーカーはZEH住宅対応の商品を展開するなど、2030年度までに各社のZEH化計画に基づきZEH化率100%を達成するとみられる。ZEHに関する技術・ノウハウ持たない地域密着型の一般工務店は、ZEH義務化を見据え、ZEH住宅に関する技術の確立や建築実績の獲得、外部サポートによる受注体制の構築が必要不可欠となる。
今後も人口減少が見込まれることから住宅市場規模は縮小傾向にあり、2040年代には新設住宅着工戸数が60万戸台に減少する可能性がある。同社は、長期的な需要減に伴い、住宅供給事業者や建材・設備事業者の淘汰が進む可能性を指摘。生き残るためには、新築市場からリフォームなどの既築市場への参入や海外進出など、成長性や安定性を見据えた事業内容の構築や、手数料型ビジネス強化など収益源の多角化を進める必要があるとした。
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