“板金”を通じて、地域の人と人をつなぐ場をつくり、職人の技術継承と地域活性化を―。屋根や外壁などの建築板金を手がけるウチノ板金(東京都東村山市)は、同市青葉町の商店街にある店舗をリノベーションし、外壁に板金を用いた「和國商店」をオープンする。今年12月に完成予定。岡庭建設(西東京市)が設計施工し、隈研吾建築都市設計事務所(東京都港区)がデザイン監修する。
和國商店はウチノ板金が手がける工芸品のブランド。同社職人の手しごとによる繊細な加工技術を用いた「板金折鶴」は、国内はもとより“メイドインジャパン”のアート工芸品として、ドイツやフランスを中心に注目を集めている。
これまでは海外でのワークショップや同社ECサイトでの販売のみだったが、今年12月に地元・東村山に初めての路面店を構える。板金の折鶴や壁掛けオブジェなどの各種作品を販売するほか、交流の場としてカフェスペースも設ける。
同プロジェクトは、地元の青葉商店街で育った同社社長の内野友和さんが「シャッター商店街」となった地元を活性しながら、職人不足や技術継承にアプローチできないかと考えたのがきっかけ。
内野さんは、コロナ禍を経て価値観の変化があり、ローカル回帰が進んでいるとし、活気が失われた商店街に賑わいを取り戻し「建築や板金の力を通じて、地元の人が集う拠点をつくることで、新たな可能性や価値を生み出す場所になるはず」と意気込む。
板金という仕事の性質上、その職能は生活者から見えにくく、暮らしの中での接触機会が限られているといった課題がある。住宅業界と同様に、担い手不足も加速している状況をふまえ・・・
この記事は新建ハウジング5月20日号4面(2023年5月20日発行)に掲載しています。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。