全米住宅建設業者協会がこのほど発表した2023年第1四半期の「住宅動向レポート(Housing Trends Report)」で、見込み客の住宅のアフォーダビリティ(適正費用負担)が改善傾向にあることが明らかになった。金利の足元での低下、住宅価格の伸びの鈍化、建設業者のインセンティブの高まりなどが背景にあるとみられる。
「住宅動向レポート」は、住宅購入予定者の認識変化を追跡するために、全米住宅建設業者協会のエコノミクス・チームが四半期ごとに作成している調査レポート。1年以内に住宅購入を計画している成人の割合や、住まい探しを継続するつもりである人の割合、住宅のアフォーダビリティなど、住宅購入予定者に焦点を当てた市場分析を行っている。
今回の調査で「市場で販売されている住宅の半分以上が手頃な価格ではない」と回答した見込み客の割合は73%で、過去最高を記録した前四半期の87%から大幅に減少した。「半分以上が手頃な価格である」と回答した割合は27%で、13%だった前四半期から倍増となった。
また、地域別のデータを見ると、2023年第1四半期における住宅のアフォーダビリティは米4地域すべてで改善している。「市場で販売されている住宅の半分以上が手頃な価格ではない」と回答した見込み客の割合は、北東部でマイナス14%、中西部でマイナス11%、南部でマイナス7%、西部でマイナス21%と、いずれも減少した。
住宅のアフォーダビリティが改善傾向にあることにより、住宅探しを計画段階から先に進める見込み客の割合も増加している。「積極的に住宅を探している見込み客の割合」は56%で、前四半期の46%から10%も増加している。
米国4地域すべてで積極的な見込み客が増えており、北東部は50%から63%、中西部は42%から45%、南部は47%から51%、西武は44%から66%と、それぞれ増加した。
住宅のアフォーダビリティが改善し、米住宅市場に明るい兆しが見えた一方で、需要の高まりによる競争の激化には注視が必要だ。「住宅探しに3か月以上かけた」という見込み客の割合が前四半期比で6%増加し、過去最高の71%を記録している。
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