帝国データバンク(東京都新宿区)は5月11日、4月の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)について集計・分析した結果を発表した。倒産件数は、前年同月比25.3%増の610件となり、12カ月連続で前年同月を上回った。前月比は23.8%減で3カ月ぶりに前月を下回ったが、2カ月連続600件超えとなった。
業種別でみると、全業種で前年同月比を上回った。「建設業」は前年同月比56.5%増(48件増)の133件で、「サービス業」145件(4.3%増)に次ぐ多さ。建設業では資材価格高騰や人手不足が続いており、特に「職別工事」(58件、70.6%増)で増加が目立つ。
主因別にみると、「不況型倒産」(販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振)が490件で全体の80.4%を占めた。80%を超えるのは9カ月ぶり。このうち最も多い「販売不振」は、37.4%増の481件だった。業種別では「建設業」が前年同月の61件から112件となり、最も多い。
「人手不足倒産」は、328.6%増の30件となり、2013年1月の集計開始以降最多を更新。前月(21件)に続き大幅増加となった。業種別では「建設業」、「サービス業」(ともに11件)が全体の大多数を占めた。
「物価高(インフレ)倒産」は、75件(525.0%増)発生し、10カ月連続過去最多を更新。2018年1月の集計開始以降、累計で1000件を超えた。業種別では、資材価格の高止まりが続く「建設業」(23件)が最も多く、「製造業」「運輸・通信業」(13件)が続いた。「後継者難倒産」(50件、13.6%増)も高水準で推移しており、「建設業」(13件)が最多となった。
2023年の企業倒産は、前年同期の約3割増のペースで推移している。「建設業」「運輸・通信業」では単月でコロナ禍前の水準を超えるなど、リーマン・ショック後にせまる勢いとなった。コロナ関連融資の返済本格化や金利上昇局面が予想されるなか、収益力が戻らないままの企業も多く、倒産動向は増加局面に突入したとみられる。また、アフターコロナが本格化するなか、企業の半数以上が「人手不足感」を感じるなど「人手不足リスク」が深刻さを増しており、中小企業では人手不足で事業継続ができなくなるリスクが上昇している。
今後、倒産件数は緩やかな増加局面が続くとみられるが、例年、年後半に倒産件数が増加する傾向にあることから、同社はコロナ融資の返済ピークに重なる「年下半期」にかけてペースが早まる可能性があるとしている。
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