安全な家づくりアドバイザー・満元貴治さんが、作業療法士の視点から住宅のあり方・つくり方を考える「作業療法士の家づくり論」。第2回目は、主に加齢による人間の体の変化がテーマ。家づくりをする工務店の実務者こそが、体の変化を理解することで、将来にわたって住まい手の安全を守ることができるのです。
まず、加齢による身体の変化としては、以下のようなものが挙げられます。
①筋力の低下
②バランス能力の低下
③視力の低下
④感覚の鈍麻
⑤認知機能の低下
①は、専門用語では「サルコペニア」とも言います。例えば大腿四頭筋(太ももの、ひざを曲げ伸ばしする筋肉)は、20歳代の筋力を100とすると、約60年後、80歳代になるとその半分まで低下してしまうと言われています。[参考文献1,2]
筋力の低下は、②のバランス感覚にも影響しますし、そもそも階段の上り下りなどが大きな負担になって、事故のリスク上昇につながっていきます。
③もわかりやすいでしょう。視力が低下すると、足元が見えにくくなったり、段差の高さを見誤ったりすれば、当然ながら転倒するリスクが高まります。
感覚と認知機能の変化
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