建設業者が建設費の高騰や資材供給の逼迫に引き続き悩まされている一方で、住宅ローン金利のピークアウトと既存在庫の減少により、米新築住宅販売は大幅に増加した。
米国商務省国勢調査局と米住宅都市開発省がこのほど共同発表したデータによると、2023年3月の米新築一戸建て住宅販売件数は68.3万件(季節調整済み)で、2月の62.3万件(下方修正値)から9.6%も増加した。2022年3月の70.7万件からは3.4%減少した。
地域別の新築住宅販売件数を見ると、南部を除き前月比で増加しており、特に北東部における増加幅が顕著に大きい。北東部は6.5万件(プラス170.8%)、中西部は7.1万件(プラス6.0%)、南部は38.6万件(マイナス5.4%)、西部は16.1万件(プラス29.8%)となった(括弧内は前月比)。
地域別の新築住宅販売件数(年初来)を前年同期間比で比較すると、北東部のみプラス1.7%とわずかに増加したが、中西部はマイナス19.6%、南部はマイナス5.8%、西部はマイナス32.2%と、他3地域では減少した。
新築一戸建て住宅の在庫は43.2万件で、6か月分に近い水準が良いバランスであると見なされる中、7.6か月分と依然高水準となった。前年同月比では5.1%増加した。このうち、竣工済みで入居可能な住宅在庫は全体の16.4%で、残りは建設中か未着工となっている。2022年10月をピークに住宅在庫は徐々に減少しており、住宅需要の回復傾向が見て取れる。
住宅販売価格の中央値は44万9800米ドル(約6080万円)で、前月より3.8%増加し、前年同月比でも3.2%増加した。住宅価格の平均値は56万2400米ドル(約7602万円)だった。建設費の高騰が、引き続き住宅価格を上昇させているとみられる。
全米住宅建設業協会の予測・分析担当部長補佐であるダヌシュカ・ナナヤカラ・スキリントン氏は今回発表されたデータについて、「フレディマックの平均住宅ローン金利が、3月の初めには6.7%近くだったものが月末には6.3%まで徐々に低下しており、これが3月の新築住宅販売を押し上げる要因となった」と分析している。
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