徹底したウェブマーケティングで顧客育成と顧客選別、さらに顧客のファン化を推進。クレーム知らずで新規顧客を生み続ける。超売れっ子工務店、オーガニックスタジオ新潟(新潟市)のマーケティング手法について、同社代表の相模稔氏に聞いた。
ポイント① ファンベース経営を実践
◉同社はマーケティングの目的を顧客の創造と位置づけている。ニッチに訴求する特徴のある家づくりと情報発信によって見込み客を優良顧客へと育て、営業マン不在で安定的に受注を獲得
➡注文住宅において顧客の質が悪いとクレームが頻発する。経営に悪影響を与えるばかりか、応対のストレスで社員が退職する
◉優良顧客とは利他的でOB客を中心とするコミュニティへの帰属意識の高い客。同社はそうした顧客の比率を高めることを重視。顧客をファンに変えるファンベース経営を展開
◉顧客をファン化するにはニッチ市場のナンバーワンとなるのが有効だ。「○○ならこの会社」と市場から認知されることで信頼性が高まとともに評判が広がり、共通する志向性をもつ見込み客が集まる
◉それには住宅のコンセプトが重要。同社は住宅を人間の営みを紡ぐ場と捉え、感性価値を重視。「建材」ではなく、木材などの「材料」を加工する建築的な住宅を志向し、庭も手掛ける
◉この考えのもと「エコハウス」を一貫して追求。創業当時、自然素材系の工務店は営業的にはウェブマーケティングが弱く、建物は断熱性能が低かった。同社はその要素を強化して支持を得た
➡当時のコンセプトは「2000万円でコミコミの自然素材の家」。断熱強化とともに差別化要因として、外構や庭を必ず組み込んだ
ポイント② 価格帯を高めて顧客のファン化を推進
◉2010年に転機があった。当時の住宅のUA値0.5程度。窓はアルミ複合樹脂+Low-Eペアガラス。床下エアコンを採用していたが厳冬期は2階が暖まりにくく、サッシ下部が結露。クレームとなった
◉建て主は専門知識がなく、費用対効果の物差しがない。廉価な建物でも不具合は許容しない。不具合が発生しない性能まで高めた上で費用対効果を追求し、個性化を図る必要があると相模氏は痛感
◉2011年にG2に断熱性能を高め「コミコミで2500万円」にグレードアップ。さらに設計に力を入れて素材のグレードを高め、造り付け家具を増やすなど3500万円まで単価を上げた
➡価格帯を高めたことで温熱環境に関連するクレームを排除するとともに住宅の感性価値が高まり、顧客のファン化が進んだ
◉昨今、品確法の断熱等級6・7が新設。「クレームにならないエコハウス」とするには、不具合が発生しないことに加え、公的基準に準拠してエビデンスを示すことが基本条件となると相模氏は予測
ポイント③豊富なコンテンツで顧客育成と顧客選別
◉ファンベース経営の基本はOB客に「オガスタファミリー」としての帰属意識をもたせること。特徴のある家づくりとともに見込み客の選別と教育が重要。それにはコンテンツマーケティングが有効
➡自社の取り組みをコンテンツ化してホームページ内のブログで発信。技術力や設計力、環境や地域志向などの世界観を伝えて共感へつなげる
◉ブログ記事が積み上がるとニッチな検索ワードが集積されるのでSEO対策としても働く。ブログはストック型メディアなので記事の数が重要だ。相模氏は淡々と書き続けて15万PV/月まで伸ばした
➡ブログのもう1つの機能が・・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー2022年11月号(2022年10月30日発行)/超コミュ力 無敵の顧客対応術』(P.48~)でご覧ください。
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