湿害とは結露や高湿度な状況に起因する建物被害や建物利用者の健康被害のこと。湿害は室内の結露だけでなく、小屋裏や床下、壁内などあらゆる箇所が対象となる。湿害のリスクとその防止策について、国立保健医療科学院統括研究官・本間義規氏への取材と論文などをもとにまとめた。
Q.湿害はどのくらい大きな問題なの?
A.湿害は世界的に多発。住まい手に与えるダメージが甚大なのでリスクを最小化する設計・施工が必須
結露などの高湿度な状況に起因する建物被害や建物利用者の健康被害を湿害と呼ぶ。健康被害はカビや細菌、ウイルス、ダニなどの繁殖によりもたらされる。「高湿度・結露=湿害」ではなく、恒常的な高湿度状態や結露によりもたらされることが多い。世界的に湿害の被害は多い。少し古い調査だが、フィンランドでは80年代の住宅でも7割の住宅で湿害が発生している。湿害がもたらす健康被害や経済的な損失は住まい手にダメージを与える。湿害の発生リスクを減らした設計・施工が非常に重要だ。
Q.住宅が高断熱されたのになぜ湿害が発生するの?
A.1つは高断熱高気密住宅における換気不全。もう1つは正常な換気による過乾燥を補うための加湿器などの多用
かつての住宅における湿害は主に冬季に発生した。断熱気密性能が低く表面温度が低い住宅において、水蒸気を大量に発生する開放型暖房を局所的に用いたことで、窓や押し入れなどの低温部で露点に達して結露を発生させた。
現代の高断熱高気密住宅における湿害の主な原因は2つ。1つは・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー5月号(2023年5月10日発行)/強い屋根超入門』(P.54〜)でご覧ください。
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。