屋根は日射と風雨を直接受ける最も過酷な部位。漏水とともに建物寿命に影響を与える結露も生じやすい。屋根の結露リスクを抑えるための鋼板屋根のポイントについて、換気部材メーカー・ハウゼコ(大阪市)社長の神戸睦史氏への取材をもとにまとめた。
POINT1.建築構法の変化による結露リスク
◉いまどきの住宅の屋根の耐久性について考える際には、屋根の形状以前に建築構法の変化による結露リスクの高まりを認識する必要がある。結露は腐朽菌を繁殖させて木部を腐朽させるほか、カビの繁殖リスクを高める
➡結露は建物の耐久性を損なうほか住まい手の健康にも悪影響を与える。結露リスクを抑えるために設計施工ともに最大限に配慮する
◉1点目は高断熱化。躯体を高断熱化すると建物内外の温度差が高まり、小屋裏や屋根内で結露が発生しやすくなる。また高断熱化に伴い全館空調が普及しつつあり、夏も内外温度差が増している
➡屋根直下のロフトを簡易な全館空調の冷房室として用いる例が増えている。この仕組みを採用した事例に夏型結露が増加中
◉2点目は基礎や木材が含む水分の影響を受けやすくなっていること。今の在来木造は短工期で基礎が大きく、大壁で面材耐力壁が主流。躯体は気密化され基礎や木材は乾燥しづらく、そこから放散した水蒸気が結露を招く
➡屋根内や小屋裏の木材に加えて、基礎の水蒸気が室内に供給されるほか壁内の木材からの水蒸気も外壁通気層を介して小屋裏に溜まりやすい
◉特に夏の日射の強い時間帯には屋根の表面温度が約70℃、野地板の温度が約60℃、小屋裏内が約55℃まで上昇する。屋根内や小屋裏が高温になることで小屋組みの木材から放湿する
➡壁内も高温になっているので、前述のように外壁通気層からも高湿な空気が小屋裏に流入。小屋裏は高温高湿となる
◉上記をふまえると、・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー5月号(2023年5月10日発行)/強い屋根超入門』(P.21〜)でご覧ください。
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