昨今、建物の高性能化が急激に進んでいる。一方で資材価格が高騰し、省コストが強く求められている。両者の要求を満たすための「高コスパ×高性能」の屋根設計について、菅沼建築設計の菅沼悟朗氏に取材した。
POINT1.屋根の掛け方①
長方形の総2階に切妻屋根を掛ける
◉屋根形状はプランに影響される。「高コスパ×高性能」を重視すると床面積に対して外壁面積が少なく、出隅・入隅などの役物を用いた納まりが少ないかたちが有利
➡長方形ないし正方形の総2階がベースになる。屋根もシンプルになり、漏水しやすい谷を設けずに済む
◉実際には総2階に玄関とシューズクロークなどをまとめた下屋を付設することが多い。また総2階の母屋は床面積を抑えるためにロフトなど小屋裏空間を積極的に利用
➡小屋裏空間の利用を前提にすると屋根のかたちや勾配は必然的に決まってくる
◉「高コスパ×高性能」で応用が効きやすいのが切妻屋根。棟の直下がロフトになるため、プランと屋根を掛ける方向や棟の位置などを整合させる
◉太陽光発電を載せる場合や建て主の好みによっては片流れになる。屋根の頂部が建物の端に寄るため、ロフトの位置も端に限定される。切妻よりプランの制約は大きい
◉屋根材は耐用年数が長く、実績もあり、廉価なガルバリウム鋼板。葺き方は、水はけがよく緩勾配に対応でき、漏水リスクも少ない立平葺きが中心
POINT2.屋根の掛け方②
切妻屋根の掛け方の基本
◉ロフトの活用を前提とすると、屋根勾配はある程度決まる。緩い勾配だとロフトの空間が小さくなる。外観とのバランスと屋根足場を設けずに施工することから基本は5.5寸勾配
➡5.5寸勾配の屋根角度は約30°で太陽光発電の効率もよい。6寸勾配でもよいが、屋根足場が必要かどうか際どい勾配だ
◉切妻屋根の左右の勾配は揃える。プラン優先で勾配を違えると外観が整わない。首都圏など密集地の狭小住宅では勾配違いもやむを得ないが、郊外の住宅では避ける
◉切妻屋根の場合、・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー5月号(2023年5月10日発行)/強い屋根超入門』(P.6〜)でご覧ください。
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