代表取締役の田中武さんの実体験からこだわり抜いた自然素材でつくる「オーガニックな家」を届ける栃木県壬生町のオーガニックスタジオを訪ねた。暮らしに対する価値観や提供する住宅の世界観が根強い人気を得ている。
田中さんが自然素材にこだわりを持つきっかけとなったのは、ハウスメーカーに勤務していた時に新築した自宅にある。使用した建材がきっかけの一つとなり、娘がアトピーを発症してしまったのだ。約30年前はシックハウス症候群が問題視される前で、内装と全面に使用したシナベニヤや、規制されていなかった接着剤が大きな要因だと考えられる。
娘の誕生とマイホームの取得という幸福で満たされるできごとのはずが、自身の設計した家を起因に娘に悪影響を及ぼしたことに衝撃を受けた田中さんは、治療のために訪れた病院で自然素材について書かれた本に出合う。その本をきっかけに木材や漆喰といった自然素材に傾倒していったという。
勤めていたハウスメーカーに自然素材の重要性を訴えたものの、その声が会社に届くことはなく、独立を決意。独立した田中さんは、様々な会社の手伝いをする中で外張り断熱工法のFC展開をする会社から高断熱高気密を学び、健康を維持するために性能も重要だと考え、高断熱高気密の家づくりを行うようになった。
今では、栃木県の地域材である八溝杉をはじめとした無垢材や漆喰といった自然素材を使用し、HEAT20・G2レベルのUA値0.33W/㎡K(5地域)、C値は0.3㎠/㎡前後の性能を標準としている。
地域材の魅力を伝え、守る
同社は・・・
この記事は新建ハウジング5月10日号6面(2023年5月10日発行)に掲載しています。
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