日本の人口減少、少子高齢化の波はいよいよ待ったなしの状況となってきた。昔は多くの家族でにぎわっていた住宅地も、子どもたちが成長して実家を離れ、老夫婦だけの住まいが増加。住人が高齢となり、病院や施設へ入ると、住まい手を失った空き家ばかりに。その一歩手前では、年老いた親の住む実家の処遇に悩む人たちが大勢控えている。
建て替えか、リフォームか、売却か—。断熱材の代わりに詰め込まれているのは、捨てられないままの思い出の品々。あまりに寒くて住みづらい段差だらけの老朽化した住空間。住むに住めない、壊すに壊せない、ただ手をこまねくばかりの実家。その対処には、建築だけでなく、相続や介護、法律や税金、さらには親族とのしがらみまでが絡んでくる。「実家問題」は、専門知識に乏しい一般ユーザーが頭を抱える超難問だ。
全国各地で挙がる「困った」という声。それに応えて、いち早く立ち向かおうとしている地域工務店がいる。それぞれ、得意の分野を生かして、出口の見えない「実家問題」に行き先を示し、既存住宅を空き家として塩漬けにすることなく、活用・活性化の道へ導こうとしている。【住宅ライター・渡辺圭彦、編集部:栁原潤、荒井隆大】
年金世代+リフォーム
イエノコト[福岡県太宰府市]
社長の淀川洋子さんはもともと地元の建設会社の総務部長として勤務していた。定年後のことを考えていた折りに出合ったのが、ベストセラー『「捨てる!」技術』の著者・辰巳渚さんが主宰する「家事セラピスト」の資格だった。生活の経験を生かして・・・
この記事は新建ハウジング5月10日号1面(2023年5月10日発行)に掲載しています。
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