高齢者住宅財団はこのほど、「高齢者の住宅資産の循環活用に関する検討調査」の結果をまとめた。高齢期に備えて自ら検討し住み替えた人を対象にアンケート調査を実施することで、住宅資産の活用の実態把握をすることが目的。住み替え前の持家の現状は、75.0%が「売却」と回答。保有したまま空家にしている割合は7.0%に止まった。空家にしている理由としては「家財の処分ができない」が33.3%と最も多かった。
調査は、▽サービス付き高齢者向け住宅、▽高齢者向け賃貸住宅、▽有料老人ホーム(自立者向け)、▽高齢者向け分譲マンション、▽分譲マンション(一般)――のいずれかに居住する50歳以上の人で、昨年9月から10月にかけて実施。調査票の配布数1万1139票で、回収率17.8%。
住み替えのきっかけは、「日常生活に不安を感じた」が最も多く34.9%。次いで「単身になった」19.2%、「要支援・要介護になった」9.2%と続く。現在の住まいの選択理由として「見守り等の生活支援サービス」39.0%、「公共交通機関が使いやすい」38.2%、「買い物に便利」30.0%が3割以上で多かった。
■売却価格4割が「期待より低かった」
住み替え前の持家を活用している割合は約8割(「売却」75.0%、「賃貸化」2.6%、「除却・住宅以外利用」0.2%)を占めた。そのほか「週末利用」3.0%、「親族居住」6.6%、「空き家」7.0%、「生前贈与」は1. 8%だった。また、持家に対する子どもの意向としては、「売却」が35.2%で最も多かった。売却の理由としては、「住み替え費用または生活資金を確保するため」が57.6%と最も多い。しかし「価格が期待より低かった」との回答が41.3%を占めた。賃貸化した人も「賃貸のためのリフォーム費用がかさんだ」22.7%、「賃料が期待より低い」13.6%などの課題を挙げている。一方、空家に関しては、53.0%が「売却したい」と回答したが、「決めていない」も29.9%あった。
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