国土交通省はスマートシティの実装に向けた取り組みの一環として、先進的な複数のスマートシティサービスを組み合わせた「スマートシティサービスの連携ユースケース」を作成し、4月26日に公開した。複数のサービスを組み合わせることで実現可能な具体例を示している。
同省ではこれまでにスマートシティ先進都市の取り組みについて、ガイドブックや事例集などで情報を共有してきたが、取り組みを行う自治体などでは「新たなスマートシティサービス創出につながらない」「現状のサービスだけでは分野間・都市間の連携ができない」などが課題になっていたという。
そこでこれまでの事例を「観光・地域活性化分野」「防災分野」に分け、それぞれ「全体像(イメージ)」「サービス概要」「データ体系」「技術」の観点で情報を整理。関連するサービスを連携させることで、より利便性の高いサービスにつながることを提示した。
例えば「防災分野」の「3D都市モデルを用いた防災の高度化」に関するケースでは、地域の地形や土地利用、道路、建築物などの都市基盤データを3Dモデルデータとして整備。これらに住民情報(室内・外観のBIMデータ、家族構成など)を統合。用途に応じて、4段階の詳細度(Level of Detail)の3Dモデルを活用する。
防災計画では、被害予測のシミュレーションを行う際に3Dモデルデータと過去の被災情報を掛け合わせて、被災時の浸水範囲、建物被害、土砂崩れなど、戸別の被害状況を予測。VRを活用した避難訓練では、自宅から避難所までの避難経路や予想される混雑状況など、パーソナライズされた映像を見ながら行う。
3Dモデルデータは、都市計画や建設計画にも活用が可能で、①LOD1(建物+高さ情報)では、高さ情報を生かした各種シミュレーション、②LOD2(1+屋根形状)では、景観シミュレーションや都市計画・建築規制の検討、③LOD3(2+建物の外構、窓・ドア)では、自動運転、ドローン配送、建築計画の検討、④LOD4(3+室内)では、建物内部のモデル化、屋内外のシームレスなシミュレーション―などが行える。
他にも、▽AIカメラを用いてリアルタイムの「まちなか情報」を事業者や来街者に提供▽アプリを用いたプッシュ型「まちなかの情報」による賑わい創出▽パーソナライズ情報の提供による避難支援(避難ルートの設定、避難所運営など)の迅速化や効率化―などのユースケースを掲載している。
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